おがみ山バイパス説明会 奄美市

2018年11月23日

政治・行政

おがみ山バイパス事業の再開表明後、初めて開催された説明会=21日、奄美市名瀬

おがみ山バイパス事業の再開表明後、初めて開催された説明会=21日、奄美市名瀬

 三反園訓県知事が2019年度の事業再開を表明した国道58号おがみ山バイパス事業(奄美市名瀬)に絡み、住民対象の説明会が21日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。19年度に修正設計に関する予算を計上し、設計終了後は事業用地の買収を進めながら工事着手する方針。出席者からは事業根拠としている渋滞解消を疑問視する声が相次いだ。

 

 おがみ山バイパス事業は交通渋滞の緩和、災害対応の強化などが目的。奄美市の進めるまちづくり計画とも連動している。バイパス事業のうち、名瀬真名津町と名瀬永田町を結ぶトンネルは延長約1・2㌔。総事業費は現時点で約140億円を見込む。

 

 1998年度に都市計画を決定し2002年度に着手したが、「地元の合意形成が不十分」などとして09年度から先送りされてきた。

 

 県大島支庁建設課によると、これまでに事業用地(1・4㌶)の約8割の買収を終えている。名瀬真名津町側のトンネル入り口側や永田橋交差点など一部の道路整備は実施した。

 

 事業再開を巡っては奄美市議会が17年3月定例会で早期再開を求める意見書を可決。本年2月には朝山毅市長から県へ整備促進を求める要望書が提出されている。

 

 これらを踏まえ三反園知事は県議会9月定例会で再開の考えを示した。市の意向確認調査(5、6月実施)で、未買収地地権者の約9割の賛成を得られたと報告を受けたという。

 

 説明会は市民ら約80人が出席した。市側が末広・港土地区画整理事業や名瀬港(本港地区)埋め立て事業を説明後、県担当者がおがみ山バイパス事業の概要や今後のスケジュールを説明した。

 

 質疑では事業効果を疑問視する参加者から「世界自然遺産に登録されると車はさらに増える。計画決定から20年たち、情報のずれがある」「まず長浜方面の渋滞解消を」として三儀山ルートを優先すべきとの意見があった。

 

 県側はトンネル開通による渋滞緩和効果など挙げ「市のマリンタウン計画と末広・港土地区画整理事業、県のおがみ山バイパス事業の三つが一体のまちづくりとして先に進める」と繰り返した。

 

 住民の一人は「動かないのではなく、動けない。今と同じように生活できる案を示した上で事業を進めてほしい」と訴えたのに対し、県側は「修正設計で用地を確定してから交渉する。前回示した金額もリセットされる」と理解を求めた。

 

 おがみ山中腹に住む市民はトンネル掘削に伴う家屋への影響を懸念した。県側は「建物損傷事前調査を行う。損傷が出たら事後調査をするので申告を」と語った。

 説明会では事業に関する資料が配布されず、出席者から疑問の声もあった。