三反園鹿児島県知事に聞く 「奄美振興 好循環を」 2019新春インタビュー

2019年01月02日

政治・行政

三反園訓鹿児島県知事

三反園訓鹿児島県知事

 ―2018年、奄美に足を運んだ印象は。

 

 「特に台風被害が大きかった1年だった。畜舎の屋根が飛び、サトウキビが被害に遭う被災地を見て回った。災害はいつどこで何が起きるか分からない。速やかな対応の大切さをあらためて感じた」

 

 「知事に就任してから奄美群島には17回足を運んだ。訪問するたび、豊かな自然に加えて黒糖焼酎や大島紬などの特産品、食、伝統文化など大きなポテンシャルを持っていると認識させられる。世界自然遺産登録を目指す中、国内外から訪れる観光客の受け入れ体制を整えるなど力強い動きを感じている」

 

 ―奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向けた決意を。奄美群島振興交付金(奄振交付金)の事業に新たなメニューが加わる見通しだ。

 

 「法延長は何としても実現しなければならない重要なテーマ。交付金を活用した航路・航空路の運賃軽減、農林水産物の輸送コスト支援を通じ、奄美群島への入り込み客や農業産出額の増加などの効果が表れている」

 

 「新たな施策が実現すれば、これらの施策を含む奄振事業を展開し、交流人口の拡大や産業振興、定住促進に向けて好循環を生み出したい。自立的発展を積極的に図りたい」

 

 ―中断していた国道58号おがみ山パイバス事業(奄美市)に対する考えは。

 

 「事業を進めることで渋滞緩和や観光振興、住民の利便性の向上が期待できる。奄美市のまちづくりの観点からも重要。奄美市長や市議会からも再開に対する強い要望を受けていた。地元と連携して円滑に進めていく」

 

 ―世界自然遺産に向けた意気込みを。

 

 「国際自然保護連合(IUCN)は登録延期を勧告したが、奄美の素晴らしい自然は一定の評価を受けている。IUCNが指摘した課題を完璧に修正しなければならない」

 「世界自然遺産に登録されれば、奄美の自然を次の世代に継承する機運が高まる。地域資源を生かした観光をはじめ、経済の活性化も図られる。国や市町村と連携しながら遺産としての価値の維持、自然環境の保全と利用の両立を図るための取り組みに力を入れる。来年夏の登録に向けて全力を挙げる」

 

 ―県政全体の課題は。

 

 「18年は明治維新150年という節目。500以上のイベントを展開した。いい流れを加速させなければならない。奄美にも多くの観光客が訪れてもらえるようキャンペーンを展開する。特にインバウンド(訪日外国人)の方々に喜んでもらえるようなルートを開拓したい」

 

 「観光と並んで農林水産業にも力を入れたい。日本一になった和牛の効果は各地に波及しているのではないか。『和牛日本一』の称号を持って輸出を伸ばす。生産者の所得を上げて後継者が育つという好循環をつくるためにも販路拡大に力を入れる」

 

 ―18年、19年をそれぞれ表す漢字は。

 

 「18年は上昇気流の『昇』だったが、19年は『輝』。鹿児島はポテンシャルがとても豊か。上昇気流に乗り、もっともっと輝く鹿児島にしたい」