地下ダム整備進捗率72%=沖永良部

2018年05月01日

政治・行政

地下ダム工事が進む作業現場=16日、知名町余多

地下ダム工事が進む作業現場=16日、知名町余多

 国営沖永良部土地改良事業(通称・地下ダム事業)は2017年度までに、地下ダム止水壁全長2414メートルのうち1642・5メートルが完成した。管水路工事は延長44・1キロのうち40・7キロが完了。進捗(しんちょく)率は事業費ベースで約72・7%。18年度は地下ダムの施設管理の拠点となる「中央管理所」も着工する予定。

 

 同事業は地下ダムを設け、揚水機場や用水路などの基幹施設を整備。付帯事業(県事業)で末端のかんがい施設の整備、区画整理を行って安定的な用水路の確保を図り、農業生産性や農家所得の向上などに役立てる目的。

 

 受益面積は1497ヘクタール(和泊町704ヘクタール、知名町793ヘクタール)。国営の総事業費は350億円。07年度に着手し、21年度の完了を予定している。

 

 本年度の事業費は25億7600万円。地下水を琉球石灰岩の隙間に貯留するための止水壁工事は「2―1」、「2―2」工区(合計延長472・5メートル)を継続し、新たに1、11工区(同555・3メートル)の施工を開始する計画。

 

 管水路は本年度、白瀬朝知野支線水路(和泊町玉城)、延長1・59キロを工事予定。

 

 中央管理所はすでに施設設計が完了した。建設予定地は沖永良部高校近くの県道沿いで和泊、知名両町のほぼ町境。地下ダムの水量や各用水路の流れなどを遠隔監視し、万一の災害時にも対応する。沖永良部土地改良区が同施設の予定管理者となっている。

 

 昨年の干ばつの際は、完成している揚水機場や用水路などを活用し、地下ダム建設地点に流れる地下水を受益地に送るなど、同事業の干ばつ対策への効果も示された。

 

 九州農政局沖永良部農業水利事業所の担当者は「干ばつ対策に加え、自由度の高い水利用が可能になることで収益性の高い営農への転換や新規参入者の促進など、本事業が地域活性化や人口減対策にもつながると考えている」とし、「引き続き『水かけ農業』を呼び掛けつつ、地域の創意工夫で地下ダムのさらなる有効利用につながるよう関係機関と連携していきたい」と述べた。