外国人初の地域おこし協力隊 マシュー・サイモン・プライドさん 目指すはミスター宇検村

2020年12月09日

政治・行政

マシュー・サイモン・プライドさん

マシュー・サイモン・プライドさん

  「ありがとうございます。なにとぞよろしくお願いします」。着任早々、流ちょうな日本語であいさつした。日本に移り住んで22年。宇検村の6人目の地域おこし協力隊に任命された。同村で初めての外国人の採用となる。愛称は「マット」。

 

 地域おこし協力隊となるきっかけは、3年ほど前。東京の展示業界で働いていたマットさんは、イベントで宇検村出身者と知り合った。その人の勧めで、帰省する際に奄美大島に同行した。空港で出迎えた宇検村の人の話し方が忘れられない。「初対面なのに昔からの友達みたいな感覚で話し掛けられ、本当に温かい人柄を感じた」

 

 海も山も美しく、食べ物もおいしい。何より印象に残ったのは宇検村民の人柄だった。「子どもたちのキラキラした目、おばぁたちの自然な笑顔。気持ちに余裕がある証拠だと思った」

 

 それ以来、年に一度は村を訪れるようになった。来れば来るほどまた来たくなる。他の観光地では感じたことのない魅力に引き付けられ「本気で宇検村に住みたいと思うようになっていた」

 

 村長の家では島に古くから伝わる遊び「ナンコ」に挑戦。「大声を出せば勝ちだと勘違いしたマットは、大声で遊んで大変だった」とエピソードを語る村長の横で、照れ笑いしながら「面白いから村のことをもっと知りたくなる。宇検村には自然体で吸収できる仕組みができている」と話す。

 

 地域おこし協力隊では、奄美の世界自然遺産登録を見据えた仕事が待っている。「訪れる人にはリゾート地としてではなく、村で生の体験をしてもらいたい。そうするには自分が村のことに深く関わらないといけない。自分勝手な『これがいい』ではなく、村民の深いところに入り発信したい」。情報発信に期待が高まる。      (柿美奈)

 

マシュー・サイモン・プライドさんプロフィル

 

 南オーストラリア生まれ。23歳で日本へ移住。6年間茨城県で英会話講師。その後東京に移り、オーストラリア大使館や出版社などでマーケティングなどに携わる。14歳の一人息子豪琉(★たける)君は現在豪州に留学中。