自然遺産候補地再編へ 奄美・沖縄科学委作業部会

2018年11月27日

自然・気象

保護管理関連の修整内容などが示された科学委員会作業部会=26日、奄美市名瀬

保護管理関連の修整内容などが示された科学委員会作業部会=26日、奄美市名瀬

  「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」世界自然遺産候補地科学委員会の奄美作業部会が26日、奄美市名瀬のホテルであり、推薦書の修正案などが示された。環境省は、4島で24区域に分断されていた遺産候補地について、5月の国際自然保護連合(IUCN)の「登録延期」勧告を踏まえて5区域に再編する方向で調整中とし、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦書の暫定版を提出したことを明らかにした。包括的管理計画では、フィールドの利用のルールと制限の設定などを盛り込んだ。

 

 遺産候補地は奄美大島、沖縄島北部、西表島の3島で各島1区域に集約する。奄美大島は再編困難な小規模区域の除外などで、修整前の9区域を1区域に統合する。候補地が南北に分かれている徳之島については、区域間の土地利用なども考慮し、修整前と同じく2区域とする方針。

 

 包括的管理計画の改訂では、来島者の増加に伴う利用の適正化へ向けて、保全対象の特性や利用実態などを踏まえて、フイールドごとに利用のルールや人数制限などを行う。認定・登録ガイドの計画に育成も盛り込んだ。

 

 保護管理では、推薦候補地の「周辺地域」を「周辺管理地域」と修整し、推薦地の「緩衝地帯」とともに管理計画で重要と位置付けた。

 

 希少動植物の保護対策については警察との連携・協力による希少種の違法採取防止策や、地域住民、民間企業、NPO法人との協力による外来種の駆除対策なども明記した。

 

 作業部会では出席委員から、修整・改訂内容について実効性の高い取り組みを求める意見や、4島以外の国立公園区域も含めた奄美・沖縄での広範囲での環境保全への提案もあった。

 

 4島の世界自然遺産登録については、IUCNの勧告を踏まえて政府が6月にユネスコへの推薦を取り下げた。9月に鹿児島市であった科学委員会では、沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地のうち約2800㌶の推薦区域への編入などを盛り込んだ推薦書の修正方針を了承。11月2日に政府が遺産登録への再推薦を決めた。

 

 環境省は年内に開く第2回科学委員会と地域連絡会議を経て来年2月1日までに正式な推薦書を提出する。