金子万寿夫衆院議員に聞く 「奄美に活力取り戻す」 2019新春インタビュー

2019年01月03日

政治・行政

金子万寿夫衆院議員

金子万寿夫衆院議員

 ―2018年を振り返って思うことは。

 

 「5月には世界自然遺産登録に向けた申請に国際自然保護連合(IUCN)から延期勧告が出され、政府が申請を取り下げた。残念な思いもしたが、国内の世界文化遺産候補地との競合を乗り越え今年2月の再提出が決定した。指摘を真摯(しんし)に受け止め、登録に向けて力を尽くしたい」

 

 「9~10月には奄美群島を襲った台風24、25号が、島の社会インフラや農作物に大きな被害をもたらした。特に被害が大きかったサトウキビ農家に対しては、生産意欲を失うことのないよう増産基金を発動し、支援体制を打つことができた」

 

 ―2019年度政府予算案で、奄美群島振興開発(奄振)関連は公共、非公共合わせて前年度比10%増を計上した。

 

 「奄振法が3月末で期限切れとなることから、法延長はもとより、予算の確保と内容の充実に力を注いだ。予算確保には関係省庁の理解が欠かせない。群島の関係者や県とも議論を重ねた。予算の額面が注目されがちだが、奄振交付金の新たなメニューに特別交付税措置(特交措置)が導入され、事業に対する市町村の負担を大幅に減らすことができた」

 

 ―特交措置が導入されると、市町村の負担はどの程度減るのか。

 

 「特交措置の対象となるのは『成長戦略の推進に係る事業』という領域。地域の創意工夫をより一層促すため、民間と連携した新しい取り組みについて事業開始から3年間を『特定重点配分事業』として支援する。国の負担割合を50%から60%に引き上げる優遇措置と同時に、特交措置の対象となることで、総額1億円を必要とする事業の場合、地元負担は以前の4千万円から1500万円に軽減される」

 

 「また農林水産物が対象の輸送費支援策を拡充し、加工品の移出や原材料の移入にも拡大される。奄美群島外の学校などに在学し、群島の住民に扶養されている人にも運賃支援を広げることができた」

 

 ―奄美大島2地区への陸上自衛隊駐屯地整備が18年度末までに終わる予定で、19年度には部隊が配備される。

 

 「南西諸島は国の安全保障において重要な役割を果たしており、(部隊配備による)人口増は地域の振興にもつながる。基地周辺対策事業も活用し、道路拡張をはじめとしたインフラの整備に取り組まなくてはならない」

 

 ―瀬戸内町のクルーズ船誘致計画についての考えは。

 

 「住民主体の協議会が立ち上がったと把握している。計画地の西古見は私の古里でもあり、住民の日常生活に悪影響を与えないということが受け入れの大前提だ。また10年後、20年後に受け入れて良かったと言えるのかどうか、長期的な視点も欠かしてはならない」

 

 ―最後に今年の抱負を。

 

 「奄振法の延長に加え、制度の拡充などもあり奄美はさらに新しいステージに入る。世界自然遺産登録にも期待が高まる。『地方創生』で鹿児島・奄美に活力を取り戻したい。政治家としてリーダーシップの一端を担い、決意と覚悟を持って取り組むことを新年の決意としたい」