5市町村がコロナ対応指針 避難所運営で策定進む 奄美の自治体

2020年07月08日

政治・行政

111 本格的な台風シーズンを前に、奄美の自治体で新型コロナウイルス対策を盛り込んだ避難所運営指針やマニュアルの策定が進んでいる。南海日日新聞が12市町村に取材したところ、6日現在で5市町村が作成済み。その他7町村は近く策定、もしくは県のマニュアルモデルを参考に運営すると回答した。3密対策の間仕切りや段ボールベッドなど全国的な需要増で確保に苦慮する声が聞かれたほか、発熱など有症者への対応を課題に挙げるところもあった。

 

 新型コロナ対応の運営指針を作ったのは奄美市、大和村、瀬戸内町、天城町、知名町。

 奄美市は職員用のチェックリストを作成し、開設準備や避難所運営時などの注意点、備品一覧をリストアップした。飛沫(ひまつ)感染や密集、密閉、密接の3密を避けるため天城町は「2㍍以上間隔を空ける」、徳之島町では「収容人数を約半数に減らす」などの対応を取る。

 

 体育施設の砂美地来館を全島避難時の避難所に指定している与論町では「通常の収容人数は800人だが、コロナ禍では110人を想定。これまで300人余りが避難したケースもあり、公民館など新たな避難所選定を検討している」という。

 

 在宅避難を推奨する自治体もある。瀬戸内町は7月の広報紙で、山沿いや河川沿い以外に建つ頑丈な建物の住民に対して「安全確保が可能な人は在宅避難を」「親戚や知人宅も検討を」などと呼び掛けた。

 

 物資の備蓄も進む。喜界町担当者は「7月中にマスク9万枚や非接触型体温計などを確保する」と話したほか、屋内用テント250張なども準備中とした。

 

 ただ、間仕切りや簡易設置できる段ボールベッドは需要が急増。導入予定の自治体は多かった一方で納入時期が遅れる懸念も生じている。「予算面もあり、一気にそろえるのは難しい。現在あるパーテーションなどを代わりに利用しながら増やしていきたい」と伊仙町の担当者。大和村は既に間仕切り65セット、段ボールベッド20台を調達した。

 

 避難所では発熱等の症状がある人への対応も必要になる。奄美市は名瀬、住用、笠利の3地区に1カ所ずつ開設する保健師配置の避難所に移動してもらう。龍郷町の担当者は「全施設に保健師を配置することはできない。専門知識のある職員が少ない中、どこまで水際対策できるかが課題」と話した。