「ガイドなしの選択肢を」 制度見直し求める意見も 世界自然遺産候補地科学委

世界自然遺産候補地の保全管理について専門家らが意見交換した科学委員会の奄美作業部会=23日、天城町

世界自然遺産候補地の保全管理について専門家らが意見交換した科学委員会の奄美作業部会=23日、天城町

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産候補地科学委員会の奄美作業部会(座長・米田健鹿児島大学名誉教授、委員9人)の会合が23日、天城町防災センターであった。今年夏を見込む自然遺産登録による観光客の増加を見据えて、奄美大島の金作原国有林周辺で実施した車両規制など利用ルールの導入に向けた実証実験について報告があり、委員から「ガイド同行でなくても行けるように、シャトルバスなど別の選択肢を提供すべき」と制度の見直しを求める意見があった。

 

 遺産候補地の金作原国有林(奄美市名瀬)は、亜熱帯照葉樹の森に多様な動植物が生息・生育する人気の自然観察スポットとして知られ、市街地からも近く、訪れる観光客は年々増加している。国、県、奄美市など関係機関は環境保全と質の高い自然体験の提供を目的に、利用ルールの導入に向けて検討を進めている。

 

 実証実験は2月16~22日に実施。国有林周辺の市道奄美中央線など約9・3㌔の規制区間を設けて、一般車両に乗り入れの自粛を求め、観光客にガイドの同行を義務付けた。報告によると、期間中に現地を訪れた一般車両15台のうち、およそ半数が自粛要請に応じて引き返した。実験結果を踏まえて今年夏ごろからルールの運用を試行的に始める。

 

 会合では委員から、「来た人を追い返すのは問題だ。代わりの方法を提供すべき」「世界遺産は価値を公開してみんなが平等に楽しむもの。ガイドの同行義務付けはハードルが高い。若い人や地域の人も行けるような選択肢が必要」という指摘があった。

 

 会合ではほかに、遺産推薦地の希少種や固有種など顕著で普遍的な価値の維持・強化を図るためのモニタリング計画の素案が示された。計画期間はおおむね10年間。▽保護制度の適切な運用▽希少種の保護・増殖▽外来種による影響の排除・低減―など管理計画の基本方針7項目を評価し、保全状況や保護管理対策の効果を把握する。2018年度中に計画を策定する方針。

 

 委員からモニタリングについて「奄美の自然を誰が調べるかが一番問題だ。自然離れが進んで愛好者はどんどん減っている。地元の人の養成を急がないといけない」という意見があった。