「大嶌之一条」解読書刊行 奄美博物館

古文書解読講座が本出版190910清水 奄美市立奄美博物館の古文書解読講座の講師ら5人=写真=がこのほど、幕末の奄美大島について書かれた「大嶌之一条」(東京大学史料編纂所所蔵)の解読書を刊行した。編集に携わった本田冨男さんらは「薩摩藩が当時、奄美をどう見ていたかが分かる史料。多くの人に読んでほしい」と話している。

 

 「大嶌之一条」は奄美大島の島政に関する実態調査報告書。奄美大島の黒糖生産高が急激に減ってきたことからその原因を調べたもので、汾陽(かわみなみ)次郎右衛門が調査に入り、島担当部署の三島方掛や大島代官の中山甚五兵衛も内容を検討し、最終的には1856年(安政3年)に家老職の新納駿河がまとめた。

 

 本田さんらによると、次郎右衛門は「砂糖代米(黒糖の売り代として藩から受け取る米)の配給が毎年遅れ、食料に不自由し農民は耕作意欲を失っている」などの問題点や課題を指摘しているが、家老らは藩の都合を優先。

 

 農民の苦難の原因を島役人や富豪家の利欲による搾取によるものと決めつけ、結果的に次郎右衛門の意図したようなまとめにはなっていないという。

 

 本田さんらは「奄美をより知るためには薩摩藩の側に立つ文書も必要。当時の藩政の内情や農民の姿が見える貴重な史料で興味深いものだった」と振り返った。

 

 150部を製本。1部千円(税込み)。問い合わせは電話0997(54)1210の奄美博物館へ。