「奄美に旅し、考えた」 コロナと「境界」も考察 北大オンラインセミナー

さまざまな「境界」問題を考えた北大オンラインセミナー=25日

さまざまな「境界」問題を考えた北大オンラインセミナー=25日

 北海道大学スラブ・ユーラシアセンターは25日、「島とボーダー:『奄美』に旅し、考えた」と題し、オンラインセミナーを開催した。パソコンやスマートフォンを通して65人が参加。センターの岩下明裕教授は奄美を旅した経験を基に、コロナが生み出した新たな「境界」、北方領土や奄美、沖縄など戦争がもたらした「境界」について考察した。

 

 岩下教授は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を取り上げ、「これまで自由に行き来できた所に行けなくなった。札幌の人が小樽に行けなくなった」と指摘。宣言解除後も県境をまたぐ移動の自粛が求められていることについては「なぜ都道府県なのか。県境に住んでいる人はどうなる」と問題提起した。

 

 さらに、コロナがさまざまな場面で境界をつくり出したことに言及。「物理的に一番外側の境界は国境だが、境界というのは国の中にいくらでもあったし、ある。いつでも現れる。コロナのことで勉強になった」と述べた。

 

 岩下教授は戦争がもたらした「境界」についても考察した。日本とロシアは平和条約がなく、国境が確定していない。両者の主張が異なるため、さまざまな問題が生じていることを取り上げ、「200カイリの経済水域を主張にできるようになり、島を大事にせんばいかんと変わっていった」と指摘した。

 

 岩下教授は2~3月、奄美の島々に足を運んだ。与論では沖縄北部を望み、境界を考えた。「戦後、北緯30度以南が米軍統治となり、その後、29度以南、27度以南と変わっていった。奄美より2年早く日本に復帰したトカラの島々は奄振法の対象から外れ、奄美と沖縄との間に壁ができた」と指摘した。