「奄美の植物と世界自然遺産」テーマに 生物多様性シンポジウム

世界自然遺産候補地の課題について意見交換したシンポジウム=3日、奄美市名瀬

世界自然遺産候補地の課題について意見交換したシンポジウム=3日、奄美市名瀬

 鹿児島大学主催の生物多様性シンポジウム「奄美の植物と世界自然遺産」が3日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。大学の研究者と地元民間団体の代表ら6人が奄美の植物の研究成果や世界自然遺産登録に向けた取り組みを発表。国内の自然遺産先進地の事例を基に、特定地域への一極集中を防ぐ観光利用の管理制度の構築を求める提言があった。

 

 シンポジウムは生物多様性や自然と人の関わりを研究する同大学の「薩南諸島の生物多様性とその保全に関する教育研究拠点整備」プロジェクトの一環。奄美市での開催は3回目。地域住民ら約60人が来場した。

 

 「奄美大島における世界遺産登録後の保全と利用の課題」と題して講演した吉田正人・筑波大学大学院教授は、知床や小笠原で導入されている観光利用の調整制度を紹介。人数や滞在時間を制限し、ガイド引率者に限定するなどを例に「特定の地域が過剰利用とならないような来訪者管理が必要」と強調した。

 

 自然と文化がそれぞれ独自の基準で価値を評価される世界遺産に対して、「地域遺産(シマ遺産)、国内遺産では自然と文化は一体のもの」と指摘。「人と自然の関わりが色濃く残っているのが奄美大島や徳之島。自然と文化を結ぶような来訪者への解説が必要」と述べた。

 

 鹿児島大学の米田健名誉教授は自然遺産候補地の奄美・沖縄の4島の植生の共通性や固有性について、宮本旬子教授は奄美の植物相調査の成果を報告。星野一昭・かごしまCOCセンター特任教授は昨年10月の国際自然保護連合(IUCN)による遺産候補地の現地調査の結果について、「今後の取り組みの方向性についてはおおむね理解が得られたが、約束したことを確実に実施していくことが求められる」と述べ、野生化した猫(ノネコ)対策など地域一体となった取り組みの継続を呼び掛けた。

 

 地元の民間団体を代表して講演した美延睦美さん(NPO法人徳之島虹の会)、鳥飼久裕さん(NPO法人奄美野鳥の会)を交えて総合討論があり、自然遺産候補地の保全管理の課題などについて話し合った。