分館長時代の足跡を語る 島尾敏雄記念室講演会

図書館司書の側面から島尾敏雄の足跡を解説する工藤准教授=11日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

図書館司書の側面から島尾敏雄の足跡を解説する工藤准教授=11日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

 奄美大島ゆかりの作家で県立図書館奄美分館の初代館長も務めた島尾敏雄に関する講演会が11日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。別府大学文学部の工藤邦彦准教授が「図書館司書としての島尾敏雄 本を届け、資料を集めた17年」と題して講演。司書の役割も担った分館長として、奄美での読書活動普及や郷土資料収集に取り組んだ島尾氏の足跡を考察した。

 

 講演会は奄美図書館1階の島尾敏雄記念室で6日から開かれている企画展の一環。島尾文学や郷土史研究のファンらが訪れた。

 

 島尾は1957年12月、県立図書館奄美分館の前身、奄美日米文化会館の館長に就任。翌年の58年4月に設置された同分館の館長も務めた。

 

 工藤准教授は、当時の同分館には▽一定の蔵書量と質を備えた「貸出図書館」▽地方文化保存のための「保存図書館」▽調査研究のための「参考図書館」―の三つの役割が期待されていたと説明した。

 

 さらに、島尾が作家としての執筆活動と図書館業務のバランスを取りながら、貸出文庫の設置による地方奉仕や旧龍郷村の円小学校などでの「親子二十分間読書運動」の実践などを展開したことにも触れた。

 

 工藤准教授は「親子読書活動が奄美大島北部での広がりを見せる中、貸出文庫による奉仕内容の刷新や分館の移設新築などで業務が多忙になり、執筆活動と図書館業務とのバランスが崩れていく様子も日記からうかがえる」と解説した。

 

 一方で、島尾は郷土資料収集の重要性も認識。郷土資料収集の成果を明らかにした目録など重要な資料も残しており、工藤准教授は「島尾氏が残した財産ともいえる目録の利活用の在り方を検討すべき」とも提言した。