北海道出身の歯科医師、清水さん「奄美に引かれて永住決意」

北海道の苫小牧市からこの春、奄美大島に移住してきた歯科医師の清水忠明さん(左)と妻の乃理子さん=11日、奄美市笠利町

北海道の苫小牧市からこの春、奄美大島に移住してきた歯科医師の清水忠明さん(左)と妻の乃理子さん=11日、奄美市笠利町

 奄美市笠利町の国民健康保険診療所で今春、北海道苫小牧市出身の歯科医師、清水忠明さん(60)が診療をスタートした。学生時代に奄美大島を訪れて以来、島の人情や自然に引かれて何度も訪問した清水さん。永住を決意して生まれ故郷の苫小牧を離れ、奄美を訪れた。「大好きな奄美での生活にわくわくしている」と笑顔で話し「これまでに培った歯科医としての経験を生かし、島の人々の役に立ちたい」と意気込む。

 

 清水さんは苫小牧市で55年間診療を続けてきた歯科医院の2代目。開業医として地域住民の診療に当たり、地元の小、中学校の学校歯科医も務めてきた。

 

 初めて奄美大島を訪れたのは鶴見大学(横浜市)の歯学部2年生だった1978(昭和53)年。旧名瀬市の朝仁海岸にキャンプをはっていたが、台風の接近で海、空の便がストップし、横浜へ帰れなくなった。

 

 「食べ物も尽きて困り果てていたところ、近くの人々から海産物や奄美のスタミナ食である『ミキ』などをごちそうになった。島の人情に感動し、ここに住みたいと思った」と強く感じたという。

 

 苫小牧市で診療を続けながらも、奄美移住の夢が捨てられず、8年前に「60歳を機に移住する」と決意。妻の乃理子さん(60)にも計画を打ち明け、今年3月、2人で笠利町の中金久に移り住んできた。

 

 当初は、民間の医師として開業を検討していたが、島に住む知人の紹介で国保診療所での勤務が決定。同診療所では2016年5月から歯科医師が不在となっていたため、医師確保を模索していた奄美市も清水さんを歓迎したという。

 

 「素晴らしい設備も用意していただき、奄美での新生活のスタートを切ることができた」と喜ぶ清水さん。「沖縄や小笠原諸島、ミクロネシアなど国内外の島々に多く行ったが、奄美以上に引かれた島はない」と表情を輝かせる。

 

 診療所を訪れる患者の多くは高齢者。事務スタッフを務める乃理子さんは「方言など、まだまだ慣れないことが多いが、表情や語り口から意思疎通が図れる」と笑顔。2人は「奄美の一番の魅力は、人の良さ」と話し、「仕事で地域に貢献しながら、島中を巡って奄美暮らしを楽しみたい」と声を弾ませた。