千年松との別れ惜しむ 伐採前に住民らが感謝祭

神木として地域住民の心の拠り所にもなってきた千年松=13日、奄美市名瀬朝仁

神木として地域住民の心の拠り所にもなってきた千年松=13日、奄美市名瀬朝仁

 奄美市の保存樹「朝仁の千年松(リュウキュウマツ)」=同市名瀬朝仁新町=が今年夏の台風シーズンに伐採されるのを前に、朝仁町内会(屋村賢良会長、428世帯)は13日、神木として住民の心の支えとなってきた松への感謝祭を開いた。千年松は「神松木(カンマチギ)」とも呼ばれていた地域のシンボル。参加した住民らは、長い間、地域を見守ってきた千年松との別れを惜しんだ。

 

 朝仁の千年松は同地区と名瀬長浜町を結ぶ峠道の上り口にあり、県がまとめた資料によると樹齢約400年、幹周3・8メートル、樹高13メートル。神社がない朝仁地区の住民の心のよりどころの役割も果たし、幹の根元に供え物して手を合わせる人の姿も見られたという。1978年に旧名瀬市の保存樹第1号に指定された。

 

 同地区の名所として親しまれてきたが、2010年ごろから奄美大島で拡大したマツクイムシの影響で枯れが拡大。市は倒木の危険性が高まったとして伐採を検討し、17年12月に地元側に意向を伝えたという。

 

 感謝祭には近隣住民など約120人が参加。屋村会長は「自然の盆栽を思わせるような姿は神の松としてあがめられ、多くの人々に親しまれてきた。やむなく伐採が決まったが、今日まで町民を守ってきた千年松に深く感謝したい」とあいさつ。朝山毅奄美市長も「長い間、島の歴史や町の風景を見守ってきた松に畏敬の念をささげたい」と述べた。

 

 参加した住民らは、松を取り巻くように眺めながら思い出を回顧。朝仁出身で朝仁新町在住の荒田則枝さん(74)は「小学生の頃、畑仕事の手伝いのためにここを通る度に、手を合わせていたのを思い出す。無くなってしまうのはとても残念」と寂しそうな表情でつぶやいた。

 

 屋村会長は「千年松の存在を後世に伝えるため、モニュメントの配置なども検討してほしいと市に要望している」と説明。「いつまでも住民の心のよりどころであってほしい」と語った。