古墓トゥール、活用法検討 課題は築造時期の解明 沖永良部でシンポ

沖永良部島の古墓「トゥール」をテーマに議論を深めたシンポジウム=1日、和泊町

沖永良部島の古墓「トゥール」をテーマに議論を深めたシンポジウム=1日、和泊町

  埋蔵文化財公開活用事業によるシンポジウム「沖永良部島のトゥール」(和泊、知名両町教育委員会主催)が1日、和泊町立和泊中学校のあかね文化ホールであった。基調講演やパネルディスカッション、ポスター発表を通して沖永良部島の古墓「トゥール」の文化財的な価値を再認識し、その活用法を検討。課題としてトゥールが造られた時期の解明などが挙げられた。

 

 トゥールは岩壁に掘り込まれた横穴や、ほぼ自然の崖下洞穴などを墓室とした江戸時代以前の奄美群島の風葬墓。沖永良部島各地に点在し、これまでの調査で島内177地点で確認されている。

 

 シンポジウムでは、沖縄国際大学の上原靜教授が「琉球孤の古墓」の題で講演。奄美、沖縄のさまざまな古墓について解説を加えつつ、スライドで紹介した。

 

 近世以降の沖永良部島の墓については木造建物を模した石造物であるなどの特徴を伝え、「今後もさらに調査を実施し、細かな分析を進めていけば、よりその墓の性質が見えてくる」と期待した。

 

 続いて両町教委文化財担当者がそれぞれの町の古墓に関する調査概要を報告。代表的な古墓の構造的特徴や出土品などを紹介した。

 

 和泊町教委の北野堪重郎さんは町内に数多く存在する古墓の中でも奄美群島で随一の規模を誇る「世之主の墓」と「チュラドゥール」「3号墓」は大きさ、外観ともに際立っている点などを強調。

 

 「今後は島内の古墓調査に加え、周辺地域の古墓と比較することで、沖永良部島のトゥールが造られ始めた時期や、周辺地域の古墓との関連性などが解明されれば」と述べた。

 

 知名町教委の宮城幸也さんは、出土品の調査から各トゥールが使用された時期は17世紀後半から19世紀と推定。一方で「トゥールが造られた時期は未確定」とし、築造時期の特定に迫る調査方法の検討を課題に挙げた。

 後半のパネルディスカッションでは文化財活用の視点も踏まえ、さらに議論を深めた。

 

 シンポジウムには200人余りが来場。和泊中校内では、考古学の専門家らによるポスター発表や、古墓出土品の展示、ビーズ勾玉(まがたま)ストラップ作りなどの体験コーナーも設置。子どもたちが古墓をイメージして設営した「墓正月体験コーナー」では郷土菓子やお茶が振る舞われ、好評だった。