地域活性化に一定の成果 沖永良部の大河ドラマ効果

住民の協力のもと、ゆかりの地で西郷に扮し、記念撮影する観光客=2018年12月30日、和泊町の伊延港

住民の協力のもと、ゆかりの地で西郷に扮し、記念撮影する観光客=2018年12月30日、和泊町の伊延港

 昨年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放送で全国的に注目度を高めた沖永良部島。和泊町はドラマを町の活性化や観光振興につなげようとさまざまな事業を展開してきた。西郷ゆかりの地に多くの観光客が訪れるなど一定の成果を挙げた。ドラマ放送が終わって年が明け、「西郷どん」の熱気は冷めつつあるが、地元では「効果を一過性にしてはもったいない」といった声も聞かれる。

 

 和泊町はドラマの放送発表翌月の2016年10月、伊地知実利町長を委員長とする町西郷どんプロモーション実行委員会を設立し、ドラマ撮影の誘致に取り組んだ。そして18年2月末から西郷役の鈴木亮平さんら俳優14人、スタッフ約80人が来島。10日間のロケ撮影が実現した。

 

 17年度からは▽ご当地グルメの発掘を狙った「西郷南洲どんDONグランプリ」▽まち歩きガイドの育成事業▽島外講師を招いた計3回のおもてなし講演会▽絵画・書道展、フォトコンテスト、ドラマパブリックビューイングによる地元住民の機運醸成▽ガイドブック、プロモーション映像制作による情報発信―などのソフト事業を展開した。

 

 ハード面では、吹きさらしの牢などドラマに使用された撮影セットを集めて展示した「西郷どん村」を新たな観光スポットとして手々知名に整備。西郷上陸の地として知られる伊延港周辺の整備も進めている。

 

 実行委員会事務局として奔走した町企画課の安田拓さんは「やれるだけの事業をやったという思い。飲食業、観光業を中心に町の活気に結び付いたのでは。島がメディアに取り上げられる回数も増え、出身者や地元の人たちが、古里の歴史への誇りと郷土愛を育むことにもつながったと思う」と話した。

 

 町内では沖永良部島と西郷の歴史的認識の広がりを喜ぶ声もある。和泊にある西郷南洲記念館の宗敦さんは「これまで西郷さんが沖永良部島に住んでいたことさえ知らない人も多く、奄美大島での出来事と混同されたりもしていた」とし、「記念館に多くの人が足を運んでくれたことで、沖永良部と西郷さんの歴史的つながりをより広く伝えることができた」と語った。

 

 同記念館は11年開館。16年度まで入館者数は減少傾向だったが、ドラマで注目を集めた17年度は有料入館者数が4431人となり前年度(2291人)の約2倍に。18年度は12月末で来館者4210人となり、過去最多となる見込み。無料ゾーンの研修交流室や牢屋のみの見学者は12月末現在、6444人に達している。

 

 昨年末に家族で初来島し、同記念館などを巡った京都府の由利繁弘さん(45)は「『民のために』という西郷さんの思想を育んだであろう島に興味があった。実際に来て気付いたり、感じることもあり、来て良かった」と笑顔を見せた。

 

 町プロモーション実行委は今年3月、「一定の役目を終えた」として解散する予定。今後は和泊西郷南洲顕彰会を主体に西郷の遺訓と遺徳を顕彰し、まちづくりに生かすとともに、同記念館を拠点に西郷ゆかりの地を島の歴史観光資源として活用する考え。

 

 おきのえらぶ島観光協会の前登志朗会長は「これまで同様、顕彰会を中心に島の歴史や西郷さんの教えを顕彰、継承していくことが島の魅力を高め、ひいては観光にもつながると考えている」と話した。

和泊町の西郷どんプロモーション事業の推進に取り組んだ安田さん(左)と西郷南洲記念館の宗さん=2019年1月10日、和泊の同記念館

和泊町の西郷どんプロモーション事業の推進に取り組んだ安田さん(左)と西郷南洲記念館の宗さん=2019年1月10日、和泊の同記念館