大人数イベント開催に光明 来場者減で赤字収支も 徳之島の正月闘牛大会

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止が続いていた徳之島の闘牛大会が今月1~4日、伊仙町のなくさみ館で約10カ月ぶりに開かれた。大人数が集うことで懸念されていた来場者らのコロナ感染確認も19日現在なく、コロナ禍におけるイベント開催に明るい兆しが見えた。その一方、来場者の減少で各大会の主催者は厳しい大会運営を強いられ、今後の大会開催に向けて新たな課題も浮上している。(徳之島総局・且慎也)

 

 島内4大タイトルを争って1、5、10月に開かれる闘牛大会は例年、各大会2000人以上が訪れる。中でも徳之島闘牛の頂点を決める全島一大会ともなれば、3000人を超えることも珍しくない。

 

 なくさみ館を管理する伊仙町は正月闘牛大会の会場使用条件として、来場者数を収容人数の50%に相当する1500人へ制限するよう求めたほか、▽島外からの来島、来場自粛要請▽来場者のマスク着用義務化│など全16項目を提示。クラスター(感染者集団)の発生対策として、牛主側に対し、大会前の前祝いや大会終了後の慰労会の自粛も求めた。

 

 会場周辺ではこれまで1カ所のみ設置していた発券所を増設し、来場者に対する検温や住所録の作成などの対策を展開。場内では3密を避けるため、主催側が来場者へソーシャルディスタンスを確保するよう注意を促す場面があった。

 

 元日の大会を主催した平成12・13年生代表の岡元勘汰さん(20)は「僕たちの運営次第では、2日以降の大会ができなくなる可能性がありプレッシャーもあった。闘牛関係者や来場者の皆さんの協力で感染者が出なくてホッとした」と胸をなでおろした。

 

 闘牛大会主催者は大会に出場する牛主へのファイトマネーや番組表の印刷製本費などの大会運営に関する費用を大会前に支払い、入場料や広告収入で補うのが通例だ。ファイトマネーは相場があり、デビュー直後は10万円前後だが、勝ち続けるにつれて金額も上がる。島内最強の「徳之島全島一」になると、1大会で100万円を手にする。

 

 今回は昨年12月に島内で発生したクラスターや島外からの来場自粛要請などもあり、入場者数の大幅減は避けられない情勢だった。4日間の来場者数は、最も多い3日の大会でも約1000人。通常開催とほぼ同額の支出に対し、入場料の激減で収支が赤字に陥った主催者もあった。

 

 徳之島闘牛連合会事務局(天城町商工水産観光課)によると、全国の他自治体では入場者数に応じ、ファイトマネーを後払いで配分する事例があるという。徳之島でも主催者の負担軽減策として支払い時期の変更が提案されたが、牛主が反対して対戦のマッチメークが難しくなることから、今後の検討課題とした。

 

 全国的な感染拡大傾向が続き、今後の闘牛大会開催もコロナの脅威が収まるまでは入場者数の制限が迫られるだろう。闘牛大会は民間団体による興行のため、行政による赤字補てんは難しい。赤字を恐れて興行数が減ることは、闘牛離れにもつながりかねない。大会が入場制限なく開かれるまでの期間だけでも、一時的に運営方法の見直しが必要ではないだろうか。