大島紬、一生ものの職人技を 織り技術者養成所が再開 10人が入校 鹿児島市

養成所で機織りを学ぶ樋渡さん=12日、鹿児島市

養成所で機織りを学ぶ樋渡さん=12日、鹿児島市

 本場大島紬の織り技術者を育てる鹿児島市の養成所が2003年以来15年ぶりに再開した。「一生ものの職人技」を身に付けようと今年は10人が入校した。養成所内には「トントン、トントン」と機織りの音が響いている。

 

 本場大島紬織物協同組合(鹿児島市)によると、最盛期の1970年代後半に1万人いた織り技術者は1千人に減っている。

 

 入校希望者の減少で後継者を育てる拠点が03年に休校。それぞれの織元が職人を指導していたが、高齢化に危機感を抱いた業界が国などの支援を受けて養成所を復活させた。

講師を務める東さん=12日、鹿児島市

講師を務める東さん=12日、鹿児島市

 講師を務めるのは龍郷町戸口出身で伝統工芸士の東登百江さん(77)。奄美から県本土へ移り住み、約200人の織り技術者を送り出してきた。

 

 43歳で夫の邦一さんを亡くし、女手ひとつで2人の子を育てた経験から「今の私があるのは紬のおかげ。世界に誇れる織物の作り手を一人でも増やしたい」と指導に熱を込める。

 入校生は20代~60代で9人が県本土の出身。最長で2年間学べる。時代の変化とともに職人を志す動機も変わりつつあるという。

 

 鹿児島市の樋渡寿子さん(43)は小学生の男の子2人を育てながら養成所に通う。「子どもとの時間を大切にしながら自分のペースで仕事が進められる。80歳になっても続けたい」とやりがいを語る。

 

 樋渡さんと一緒に入校した母親の池田賀子さん(68)は「機織りは無心になれるから好き。完成させたときの達成感を早く味わいたい」と笑顔を見せた。