天然海水でウナギ稚魚生産 島の産業振興に期待 新日本科学・沖永良部島事業所

沖永良部島事業所で天然海水による人工生産に成功したニホンウナギの稚魚(新日本科学提供)

沖永良部島事業所で天然海水による人工生産に成功したニホンウナギの稚魚(新日本科学提供)

 【沖永良部総局】ニホンウナギの完全養殖を目指し研究を進めている新日本科学(本店・鹿児島市、永田良一代表取締役社長)はこのほど、和泊町の沖永良部島事業所で、天然海水による稚魚(シラスウナギ)の人工生産に成功したと発表した。「安定的に生産できる環境構築のめどが立った」とし、2023年までに1万匹の生産を目指す。

 ニホンウナギは近年、乱獲などでシラスウナギの採捕量が激減しており、国際自然保護連合(IUCN)が14年に絶滅危惧種IB類に指定している。

 同社は、ウナギ資源枯渇による県内養鰻(ようまん)業の危機的状況などを背景に、14年から鹿児島本店でウナギの種苗生産研究に着手。17年には人工海水による世界初の「閉鎖式循環システム」を用いたシラスウナギの生産に成功している。

 和泊町とは19年3月、新たな水産業創出に向けた調印を締結。沖永良部島事業所は、天然海水による人工種苗生産技術の研究施設として同年10月、伊延港近くに開設された。現在、5人体制で研究を進めている。

 同事業所で親ウナギから採取した卵と精子を人工授精させた受精卵が今年2~3月にふ化。その後、飼育期間が180日を経過し、幼生は体長5㌢ほどに成長。今月に入り、5匹を稚魚に変態させることに成功した。

 沖永良部島事業所でふ化した幼生が稚魚になるまでの生存率は現在、1%未満。23年までに生存率を5%まで向上させることを目標に、餌の開発などを進める。同社の松本敏常務執行役員(52)は「研究拠点として沖永良部島事業所の規模拡大も検討している。和泊町の協力があってこそ開設から1年で成功できた」と語った。

 和泊町の伊地知実利町長は「成功の知らせに喜んでいる。今後も研究が進み、島の産業振興や雇用拡大につながるよう期待する」と話した。