奄美・沖縄の世界自然遺産 登録の可否、今夏に

国の特別天然記念物のアマミノクロウサギ

国の特別天然記念物のアマミノクロウサギ

  「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産の登録可否が今年夏に決まる。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会(6月24日~7月4日、中東・バーレーン)で審査される。登録が実現すれば国内で5番目。海をまたぎ、行政区域も異なる自然遺産は国内で初めてとなる。

 

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は日本列島の南端、約1200㌔にわたって弧状に点在する琉球列島の一部。大陸との分離・結合を繰り返した地史などによって生物が独自の進化を遂げ、多様な固有種が生息・生育している。アマミノクロウサギやヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに記載された絶滅危惧種も多い。

 

 奄美を含む琉球諸島は2003年、白神山地と屋久島に続く世界自然遺産の候補地として、知床、小笠原諸島とともに選ばれた。知床は05年、小笠原諸島は11年に世界自然遺産に登録されたが、琉球諸島は環境保全の法的担保措置が不十分とされ、手続きが遅れた。

 

 16年4月に西表島のほぼ全域に国立公園が拡張されたのに続いて、16年9月に沖縄島北部のやんばる国立公園、17年3月に奄美群島国立公園がそれぞれ誕生。遺産登録の前提となる厳格な自然保護体制が整った。

 

 政府は17年2月、ユネスコ世界遺産センターに「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の推薦書を提出。推薦区域は▽奄美大島 1万1544ヘクタール▽徳之島 2434ヘクタール▽沖縄島北部 5133ヘクタール▽西表島 1万8835ヘクタール―の計3万7946ヘクタール。遺産の価値として「生態系」「生物多様性」を挙げた。

 

 IUCNの現地調査が17年10月、候補地の4地域で行われ、専門家2氏が固有種や希少種の生息状況と保全への取り組みなどを視察した。

 

 IUCNの視察について、環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は「遺産の価値を十分に見てもらい、感触は良かった。マングースなどの外来種対策や、遺産登録に向けて地域のさまざまな関係者が協力して取り組んでいることも評価されたと考えている」と手応えを示した。

 

 遺産登録に向けて、「遺産の価値となる自然環境は地域の人が守ってきたもの。外来植物の駆除やノネコ(野生化した猫)問題など、行政と地元が協力して今後も地域の身近な自然を大切にしていきたい」と述べた。

 

 IUCNは調査結果を踏まえて来年5月ごろ、ユネスコに評価報告書を提出。▽登録▽情報照会▽登録延期▽登録不可―の4段階で示される評価を踏まえて、世界遺産委員会で登録の可否が審査される。

亜熱帯照葉樹に覆われる奄美の森

亜熱帯照葉樹に覆われる奄美の森