奄美豪雨から8年

2010年の奄美豪雨で右の冷川が氾濫し集落全体が冠水した西仲間地区=20日、奄美市住用町

2010年の奄美豪雨で右の冷川が氾濫し集落全体が冠水した西仲間地区=20日、奄美市住用町

 奄美大島に甚大な被害をもたらした2010年の「奄美豪雨」から20日で8年が過ぎた。「100年に1度」と言われた猛烈な雨で土砂災害や河川の氾濫が多発して住家被害は1432棟に上り、高齢者3人が犠牲になった。集落全体が水に漬かった奄美市住用町の西仲間と石原の両地区では、住用川の改修や低地の冠水対策などが進む。行政も住民も「防災環境の整備とともに防災意識の向上が欠かせない」と口をそろえる。

 

 10年10月の豪雨で、住用町では1時間に100ミリを超える雨が数時間続いた。住用川の水位が上昇したため、上流に位置する西仲間地区では支流の冷川(ひやかわ)から流れてきた水があふれ、集落を襲った。下流の低地にある石原地区では住用川の増水に伴い、国道から流れ込んできた雨水を貯水池から放流できず、行き場を失った水が集落内にあふれた。

 

 このため、県は翌11年度から、冷川からの流入を促すため川の幅員を25~50メートル拡げるといった総合流域防災工事に着手。奄美市は本年度から2カ年事業で、石原地区の貯水池の水が一定量に達するとポンプで強制的に住用川に放流する排水施設の整備を進めている。

 

 両事業の整備について、県大島支庁建設課と奄美市土木課は「完工すれば、防災面で大きな効果が期待できる」と強調する。

 

 地域住民も防災関連事業の効果に期待する。その一方で、自分の身は自分で守る自己防衛意識も重要と訴える。

 

 西仲間に住む和田美智子さん(75)は「西仲間は度々、大雨の被害を受けてきただけに、住用川の河川改修は非常に心強い」と話した上で「設備に頼りっぱなしになってはならない。想定外の規模で発生するのが自然災害の怖さ。奄美豪雨でそのことを思い知った」と振り返る。

 

 県や市側も防災事業の効果を示しつつ、「防災面で住民の意識が最も重要であることには変わりはない」と理解を求めている。

 

 石原地区の嘱託員、山下隆光さん(67)も「台風や大雨時には、避難を前提に行動するよう集落民に呼び掛けている」と話し、奄美豪雨で自宅が2メートルの高さまで浸水した被災経験から「大雨時には大切な物をすぐに高い場所に上げている。自分の生活や生命を守る上で大切な多くのことを、豪雨から学んだ。教訓として生かさなければ」と表情を引き締めた。

 

 市住用総合支所の手蓑利文支所長は「豪雨災害が防災力向上の契機となったのは間違いない」と分析し、「台風や大雨時など避難所開設や避難呼び掛けなど、防災対応の迅速化が図られている。住民意識は確実に高まっている」と話していた。

石原地区の排水施設整備現場=20日、奄美市住用町

石原地区の排水施設整備現場=20日、奄美市住用町