山下氏建築にアジア賞

高倉や巻貝などから着想を得たプールヴィラの天井=傍島利浩撮影

高倉や巻貝などから着想を得たプールヴィラの天井=傍島利浩撮影

 龍郷町芦徳のリゾートホテル「ネストアット奄美ビーチヴィラ」を設計した奄美市出身の建築家・山下保博さん(58)とその設計事務所が、アジアの商用不動産で最も高い業績を残した会社に与えられる「アジア・パシフィック・プロパティ・アワード」を受賞した。山下さんは「故郷のリゾート設計ができたことに感謝している」と話している。

 

 アジア・パシフィック・プロパティ・アワードは、商業や住宅用不動産で優れた建築やインテリアデザインなど、45部門を選ぶアジア太平洋地域で最も栄誉ある賞。山下さんは「ホテル建築部門」と「新ホテル建設・デザイン部門」でダブル受賞した。80人の専門家が、デザイン、品質、サービス、独創性の点で審査した。

 

 ネストアット奄美ビーチヴィラは2018年にオープン。山下さんと、その設計事務所「アトリエ・天工人(テクト)」(東京都)と「奄美設計集団」(奄美市笠利町)が設計した。

 山下さんは敷地探しから関わり、奄美の自然に調和したデザインを設計。「ハザマをデザインする」をコンセプトに、伝統と革新の間で新たな建築を模索した。

 

 プール・ヴィラの天井のはりは高倉の構造を取り入れ、らせん状に広がる骨組みは奄美の巻貝から着想。濃い灰色の屋根と外壁は地元の植物「イタジイ」を採用し、大島紬の泥染めの手法を用い木に含まれるタンニンを使って染めあげた。

 

 初受賞となった山下さんは「10年近くアジアのリゾートを視察してきた。地域ごとの特性を再構築しながら新たなアジアン・リゾートを定着させたい」と話している。

 

 また同ホテルを運営する㈱ネストアット奄美(龍郷町芦徳)の田畑美千代代表取締役は「設計者の島への思いを引き継ぎ、ゆっくりくつろいでいただける場所(ネスト)になるよう励んでいく」と話している。

大島紬の手法で染めたイタジイを使った外壁と屋根=傍島利浩撮影

大島紬の手法で染めたイタジイを使った外壁と屋根=傍島利浩撮影