市集落の夜空に大輪 サプライズ花火に歓声 「子どもたちのためだけに」 奄美市住用町

市集落の夜空に浮かび上がった大輪の花火=21日、奄美市住用町

市集落の夜空に浮かび上がった大輪の花火=21日、奄美市住用町

 奄美市住用町市集落の青壮年団21人(渡辺正勝団長)は21日、「集落の子どもたちのために」と集落内で打ち上げ花火を上げた。新型コロナウイルスの影響で、集落行事が全て中止になった同集落。せめて子どもたちに祭りの気分を、とサプライズで企画した。小さな集落に打ちあがった大きな花火。子どもたちは夜空を見上げて大きな歓声を上げた。

 

 市集落は人口129人、89世帯。市小中学校には11人の児童生徒が通う。奄美市が募集している「奄美くろうさぎ留学生」の受け入れ先にもなっており、今年は生徒1人を受け入れた。ところが、新型コロナの影響で留学生の歓迎会や集落の人々への顔合わせもできなかった。その後の浜下れも、三太郎まつりも、豊年祭も中止になった。

 

 街に出掛ける楽しみも制限され、行き場のない子どもたちに寂しい思いをさせたくない│。9月に青壮年団で打ち上げ花火を思いついた。費用は全て青壮年団の団費。予算に限りがあるため、他の自治体のサプライズ花火のような数は準備できないが、名瀬や古仁屋に行かなくても集落で花火が見られたら、子どもたちの記憶にも残るだろうと企画を進めた。

 

 21日午後7時。子どもたちのカウントダウンに合わせ、夜空に大輪の花が咲いた。「わー」「きれい」。わずか10分間ほどの〝光のショー〟に、子どもたちは耳を両手でふさぎながら歓声を上げて喜んだ。

 

 今年の唯一のくろうさぎ留学生の権藤遥奈さん(14)は「ずっと花火が見たいと言い続けてきたので、本当に打ち上げると聞いたときは発狂した」と笑い、「子どもたちのためにと頑張る大人たちの気持ちがうれしい。夢がかなった」と話した。市小中学校教諭で保護者の浅野若美さん(42)は「初めて聞いたときは信じられなかったが〝特等席〟で見られて本当にぜいたくな時間だった。地域と子どもの距離が近い市ならではだと感じた」と喜んでいた。

 

 渡辺団長は「子どもたちのために準備したプレゼント。心が明るくなるように祈って上げた。本当にやってよかった」と話した。

舞い上がった夜空の花火に歓声を上げる市集落の子どもたち=21日、奄美市住用町

舞い上がった夜空の花火に歓声を上げる市集落の子どもたち=21日、奄美市住用町