徳之島伝来の名器展示 那覇市

「沖縄が誇る家宝の三線展」に出品された「直富主の真壁」

「沖縄が誇る家宝の三線展」に出品された「直富主の真壁」

 【沖縄・佐久本薫通信員】「沖縄が誇る家宝の三線展」(沖縄県立博物館・美術館、琉球三線楽器保存・育成会主催)が那覇市にある同館の企画展示室で開催されている。琉球王朝時代から沖縄の家庭で代々受け継がれてきた三線など136点を展示。神奈川県に住む奄美市出身の男性が所有し、胴部分が国内最古と鑑定された徳之島伝来の三線「直富主の真壁」も紹介されている。3月10日まで。

 

 琉球三線楽器保存・育成会(宜保榮治郎会長)の30周年を記念して開かれた。同会は沖縄戦で散逸した三線の名器を集め、科学的な資料を残そうと専門家らが1986年に設立。千丁を超える三線を鑑定し、素材や型、製作年代などを調査し記録してきた。

 

 今回は同会が1995年以降に鑑定した600丁のうち60丁を厳選。「戦前から代々家に伝わる三線で、父が大切に弾いていた」など持ち主のエピソードと併せて展示している。

 

 国内最古の三線も会場に並ぶ。現存し製作年代が確認できている三線で最も古いものは「志堅原比屋(しけんばるひや)」で、棹の部分に1689年との記述がある。

 

 昨年新たに鑑定された徳之島伝来の三線は、胴の内部に「道乙酉 (★どうおつとり)渡慶次作」と墨書きされ、1825年に渡慶次という姓の職人が製作したことを示している。胴部分に銘書きがあるのは極めて珍しく、今回で3例目。棹も同時期に作られたとみられ、胴が残る三線では最も古い。

 

 徳之島の郷土史によると、旧阿権村(現・伊仙町阿権)を治めた尚(たかし)家の2代目直富が首里を訪れた際、もみ30俵で買い求めたものだという。三線の作りが「真壁型」であることから「直富主の真壁」と呼ばれる。

 

 神奈川県鎌倉市に住む奄美市出身の島岡稔さんが所有し、昨年10月に沖縄県立博物館・美術館に持ち込み鑑定を依頼した。

 

 鑑定に携わった県立博物館・美術館の園原謙学芸員は、「皮は張り替えたかもしれないが、胴部分が残っているのは非常に貴重。保存状態もよく、琉球三線の多様性を知る重要な資料となる」と評価した。

 

三線の胴の価値について話し合われたシンポジウム=16日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館

三線の胴の価値について話し合われたシンポジウム=16日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館

 関連催事として16日に開かれたシンポジウムでもこの新たな発見が話題となった。

 

 三線の胴部分は棹と比べ劣化が早く、消耗品扱いされることが多い。パネリストで琉球芸能史専門の大城學さんは「県の文化財に指定されているのは大方棹のほう。しかし、三線は棹も、胴も、皮も、弦もあって初めて楽器として成立する。胴の部分に銘書きも見つかるとなれば、チーガ(胴)の持つ意味合いは大きい」と指摘し、「胴も大事にしましょう」と呼び掛けた。

 

 期間中、三線作りのワークショップや三線の演奏会などが開かれる。