持続的観光へ「量より質を」 ガラパゴス諸島・イスリエータ氏 奄美市で世界自然遺産講演会

ガラパゴス諸島の世界自然遺産登録後の課題について講演したアルトゥロ・イスリエータ氏

ガラパゴス諸島の世界自然遺産登録後の課題について講演したアルトゥロ・イスリエータ氏

 世界で初めて世界自然遺産に登録されたガラパゴス諸島からチャールズ・ダーウィン研究所所長のアルトゥロ・イスリエータ氏を招いた講演会が11日、奄美市名瀬の集宴会施設であった。イスリエータ氏は遺産登録後のガラパゴスで起きた外来種の増加や都市化の加速などの課題について「観光客の増加が原因」と指摘。国に「量ではなく質を求める」ことを提言したとして「観光客を一定数に限定すれば持続可能な形で経済効果は伸びていく」と強調した。

 

 講演会は今年夏を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、自然遺産の先進地の事例を学び、遺産の保全と活用に理解を深める目的で鹿児島県が主催。地域住民ら約70人が来場した。

 

 ガラパゴス諸島は、南米大陸から約1000㌔西の太平洋上にある有人4島を含む123の島々。大陸から隔離された独特の環境に生物が適応し、多数の固有種が生息している。1978年に世界自然遺産の第1号となった。ダーウィン研究所は国、地域住民らと遺産の保護管理に取り組む。

 

 イスリエータ氏は講演で、ゾウガメの保護に向けた植生を荒らすノヤギの駆除など環境保全の取り組みを説明。「脆弱な環境の中で人がどう生きるのか、地域社会の理解が必要」と述べ、若者に年間200時間の環境教育を課す制度を紹介した。

 

 98年の新法制定で移住を規制したものの、人口は年間3・5%増えているとして、外来種の増加や漁業関係者やツアー会社による圧力、都市開発など、現在抱える課題の要因に観光客の増加を挙げた。

 

 イスリエータ氏は世界自然遺産登録を目指す奄美に対して「世界にとって特別な地域であり、保全が必要と強調していかなければならない。責任と行動を求められ、コストも伴う」と指摘。「地域の若者が保護活動に興味を持ち、将来を担う人へと育てることが社会的な責任だ」と述べた。

 

 講演後はパネルディスカッションがあり、星野一昭氏(鹿児島大学特任教授)をコーディネーターにイスリエータ氏と服部正策氏(東京大学医科学研究所特任研究員)、勝眞一郎氏(サイバー大学教授)、羽井佐幸宏氏(県自然保護課長)らが「奄美群島の持続的観光推進のために」をテーマに意見交換した。

持続的な観光の推進について意見交換したパネルディスカッション=11日、奄美市名瀬

持続的な観光の推進について意見交換したパネルディスカッション=11日、奄美市名瀬