政府の方針決定を注視=世界遺産延期勧告から1週間

 政府が世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を国際自然保護連合(IUCN)が「登録延期」と勧告してから11日で1週間を迎える。奄美内外でさまざまな声が上がる中、関係者は国の方針決定を注視している状態。今のところ経済的な影響は見られず、運輸事業者の航路・航空路計画や行政機関が掲げる奄美振興の方向性を大きく変える動きは出ていない。

 

 環境省は4日未明、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関IUCNが登録を延期するよう勧告したと発表。中川雅治環境相は8日の記者会見で、「早期の登録を目指すことに変わりない」と述べた上で、関係省庁や地元自治体と今後の対応を協議する方針を示した。

 

 奄美振興を方向付ける奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)は本年度末に期限が切れ、県は延長に向けた作業を進めている。

 

 自民党奄美振興特別委員会事務局長の金子万寿夫衆院議員(鹿児島2区)は「奄美の自立的な発展に奄振法は必要だ。計画の文言を少し修正する必要はあるかもしれないが、延長への手続きに支障はない」とみる。

 

 奄振関係大臣の諮問機関・奄振審議会の原口泉会長(志學館大学教授)は「登録を目指す地元のモチベーションを下げないことが大事。早い時期での登録が望ましい」と話す。

 

 日本エアコミューター(JAC)は「奄美群島アイランドホッピングルート」と銘打ち、7月1日に徳之島―沖永良部、沖永良部―沖縄(那覇)の各線を新規開設する。

 

 JACの担当者は予定通り運航するとし、「勧告の内容は残念だったが、奄美群島の魅力は変わらない。国立公園に指定されたことで知名度も上がっている。利用者の動向を注視しながら、新たな観光需要を掘り起こす」と話した。

 

 3月に奄美大島と屋久島を結ぶ航路を開設したマルエーフェリーの担当者は「運航に影響はない」としている。目標にしていた年間の乗客数4千人の達成は厳しいが、団体旅行のツアー商品も企画されており、「利用者の数は伸びつつある。奄美と沖縄を結ぶ唯一の航路を継続させたい」と話した。