新型コロナ影響、観光ガイドに大打撃

閑散とした金作原国有林=4月24日、奄美市名瀬

閑散とした金作原国有林=4月24日、奄美市名瀬

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、奄美大島の観光ガイドも深刻な影響を受けている。4月に入って観光客から予約のキャンセルが相次ぎ、事業者らは書き入れ時の大型連休中も「予約はゼロ」「稼げるときに稼げない。大打撃だ」と頭を抱える。政府の緊急事態宣言の延長で影響の長期化が懸念され、「いつ収まるか予測がつかない」「この先どうなるのか」と不安を募らせる。ガイド業を取り巻く現状を追った。(山崎みどり)

 

 奄美大島を代表する自然観察スポットとして人気が高い奄美市名瀬の金作原国有林。4月下旬、普段はガイドの車両がずらりと並ぶ金作原林道の入り口付近に人影はなく、静まり返っていた。

 

 「5月6日まで予約は完全にゼロ。固定費は出ていくが、収入は全く入ってこない。長引いたら、とてもじゃないがやっていけない」。「観光ネットワーク奄美」(奄美市名瀬)代表の西條和久さん(58)はため息をついた。

 

 金作原の自然散策ツアーが利用客の7~8割を占める。3月半ばから団体客のキャンセルが増え、個人客の予約も次第に消えていった。政府の緊急事態宣言後、大型連休までの予約は断った。4月8日から約1カ月、ツアーのない日が続いている。

 

 金作原では観光客の増加を背景に、利用者に奄美群島の認定ガイドの同行を求め、車両台数を制限する官民による自主ルールが2019年2月から試行されている。西條さんら認定ガイドはウェブ上のカレンダーで予約状況を共有して利用を調整しているが、大型連休を含め5月中は空白が目立つという。

 

 マングローブのカヌー体験や金作原散策などのツアーを展開している「アイランドサービス」(龍郷町)は、キャンセルの急増で4月6日に臨時休業を決めた。当初は20日までの予定だったが、緊急事態宣言後、5月6日まで延長した。

 

 2010年10月の奄美豪雨や、11年3月の東日本大震災の際にもツアーを自粛したが、代表の荒田政行さん(67)は「あのときは先が見えていた。今回はスタッフの健康も守らないといけない。こんなことは初めて。5月いっぱいは休業かなあ」と天を仰いだ。

 

 「コロナが収束すれば、自然体験のレジャーに人は来ると期待している。それまで持ちこたえて頑張るしかない」(荒田さん)

 

 「立ち止まるのにいい機会かもしれない」とも西條さんは話す。ツアーがない時間を利用して、新しいコースづくりを計画中だ。「新たな見所を見つけ、島を再発見する機会にしたい」と前を向いた。

 

 奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、奄美大島で自然の魅力を伝えるガイドの需要は高まっている。奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の登録ガイドの数は、2014年の42人から19年には95人と5年間で倍増した。

 

 17年には群島の認定ガイド制度が始まり、地域での認識も広まりつつある。同協議会の喜島浩介会長(69)は「ガイドも感染する恐れがあり、島外からの侵入は防がないといけない。人の命が大事。奄美の新しい仕事として、社会的地位を確立するために今は踏ん張ってほしい」と語った。

金作原の予約状況を確認する事業者。5月は空白が目立つ

金作原の予約状況を確認する事業者。5月は空白が目立つ