漂着油「大きな影響見られず」―鹿大研究者ら

漂着油問題について調査結果を発表した報告会=20日、奄美市名瀬公民館金久分館

漂着油問題について調査結果を発表した報告会=20日、奄美市名瀬公民館金久分館

 日本の排他的経済水域内でパナマ船籍のタンカーが沈没後、奄美群島各地の海岸に油が漂着した問題を受け、鹿児島大学の研究者らは20日、奄美市で調査報告会を開いた。重油の漂流予測計算や漂着状況の現地調査、回収した油の成分分析などの結果を開示。「水産物や生き物に対して大きな影響は見られず、油の漂着量も今後減少の見込み」との見解を示した。

 

 鹿大の水産学部と国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室は2月上旬、研究者21人を中心としたワーキンググループを発足。油の漂着量の多かった宝島と奄美大島で調査を行っている。報告会には地元の自治体関係者や水産、観光業者らが参加した。

 

 潮流と風の影響を元に計算した重油の漂流予測によると、タンカーから流出した重油は黒潮に乗って北上後、季節風によって南西諸島へ流れた。今後、季節風が弱まるにつれ奄美群島への新たな重油の漂着は少なくなる見込みという。

 

 調査によると、奄美大島の海草や藻類は例年通りの育成状況で、海水温の影響でサンゴの白化が確認されたものの短期的な影響は見られなかった。今後も貝類のモニタリングなどを継続するという。

 

 奄美市名瀬で2月6日に見つかったアオウミガメの死骸については解剖の結果、「体内に油類は見られず、呼吸の際に水面の油が口に入り窒息したと思われる」と報告した。

 

 報告会では風評被害防止への提言もあり、関係機関の情報共有などを呼び掛けした。ワーキンググループ長で海岸工学や沿岸環境学が専門の西隆一郎教授は「油の量や成分の検出結果を見る限り収束に向かっている印象を受ける。今後も調査を続け、結果を開示していく」と語った。

 

 報告会は26日午後3時から鹿大大学院連合農学研究科会議室でも開かれる。事前登録が必要。問い合わせは電話099(285)8781大学院連合農学研究科。