瀬戸内町教委、第18震洋隊基地跡を発掘調査

第18震洋隊の格納壕跡スロープの発掘作業を進める調査員=17日、瀬戸内町呑之浦

第18震洋隊の格納壕跡スロープの発掘作業を進める調査員=17日、瀬戸内町呑之浦

 瀬戸内町教育委員会は12月から、同町加計呂麻島呑之浦にある近代遺跡(戦争遺跡)の発掘・測量調査を進めている。同地域には太平洋戦争末期、後に小説家となった島尾敏雄を隊長とする日本海軍の特攻隊「第18震洋隊」が配備されていた。町教委ではこれまでにも構築時期が異なる町内4カ所の戦争遺跡調査を行っており、鼎丈太郎学芸員は「これで明治期から昭和初期にかけて、東アジアを中心とした戦況の変遷が見えてくる」と同遺跡の重要性を強調した。

 

 近代遺跡で国の文化財指定を目指す町教委は2014~16年度、国庫補助事業を活用して町内にある近代遺跡の分布調査を行い、206カ所の軍事施設跡を確認。17年度から発掘と測量を始め、これまでに安脚場、久慈、西古見、手安を調査した。本年度で全5カ所の調査を終え、20年度に報告書をまとめる。

 

 町教委によると、第18震洋隊は1944年11月に着任し、特攻艇「震洋」が50~55艇配備された。島尾の小説や軍事史料などによると、隊員の着任時、震洋の格納壕(ごう)は未完成だった。戦況悪化の中、隊員のほか、旧制大島中学校(現大島高校)の生徒も動員されて急ピッチで12本の壕の掘削作業が進められた。

 

 これまでの調査によると、壕の奥行きは30~36メートル。壕の入り口両端に見つかった穴は、壕を偽装するための木枠の固定用と推測。壕から海へ、震洋艇の揚げ降ろしに利用していたとされるコンクリート製スロープも確認された。

 

 今回の調査は2020年2月まで。今後は基地本部があった島尾敏雄文学碑公園一帯の地中レーダー探査や小型無人機(ドローン)を使った測量調査などを行う予定。鼎学芸員は「文献、写真、見地と複合的に調査できるのが近代遺跡の特徴。現状で考えて、どれが史実に近いか調べていきたい」と話した。