父が撮影した少年と対面 写真家の芳賀さん、宇検村訪問

宇検村を訪ねた芳賀日向さん(右)と、少年の頃に写真を撮ってもらった川渕さん=13日、宇検村元気の出る館

宇検村を訪ねた芳賀日向さん(右)と、少年の頃に写真を撮ってもらった川渕さん=13日、宇検村元気の出る館

  昭和30年代の奄美を撮った民俗写真家、芳賀日出男さん(97)の長男で祭り写真家の日向さん(62)が13日、宇検村を訪ねた。約60年前に父が撮影した少年と対面。写真を通して新たな絆が生まれた。

 

 写真の少年は川渕哲二さん(70)=宇検村宇検。日出男さんは宇検集落で撮影した。板付け舟に乗った家族が南郷川の河口を航行している。川渕さんによると、その日は枝手久島で農作業をした帰りで、舟には刈り取った稲とまきを積んでいた。

 

 川渕さんによると、当時、10歳。先頭で舟をこいでいるのが母親のミスエさん(故人)。父親の武茂さん(同)は、かじを取っている。川渕さんは右側、弟の好三さん(67)は左側で舟をこいでいる。末っ子の弘道さんは舟の後ろで寝ている。

 

 当時、各家庭で密造酒を造っていたこともあり、母親は「発覚したと思った。写真を撮られたとき、頭の中が真っ白になった」という。その後、調査のための撮影だったと知った。現在、兄弟3人で同じ写真を大事に所有している。

 

 川渕さんは「当時の家族の写真が残っていること、芳賀先生の長男と会えたことを幸運に思う」と話した。

 

 日出男さんは1955年から3年間、人文科学系学会の連合組織「九学会」の奄美大島共同調査隊に参加し、各地で祭りや暮らしを撮影した。宇検村にも足を運び、貴重な記録を残している。日向さんはこの日、元田信有村長とも懇談。写真データの提供を申し出た。

 

 日向さんは今回が初の奄美。8~13日、奄美市笠利町の島唄教室を訪ね、龍郷町のアラセツ行事を取材した。奄美大島訪問を振り返って日向さんは「私の人生の転機になった。父の写真を残していく重要さを感じた」と述べた。