自殺生徒のいじめ断定「瑕疵ない」  奄美市教委回答、遺族は不信感

記者会見で市教委へ不信感を示した遺族父親(写真右)ら=13日、奄美市名瀬

記者会見で市教委へ不信感を示した遺族父親(写真右)ら=13日、奄美市名瀬

  2015年に奄美市の公立中学1年男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、自殺翌日に生徒を「いじめた側」と誤って断定したと第三者委員会から批判を受けていた市教委が、5月31日付で遺族に提出した文書で「瑕疵(かし)はなかった」との見解を示していたことが分かった。遺族側は13日、奄美市内で記者会見を開き「いじめと断定したことを正当化しようとしている」と批判し、再発防止へ取り組むとしている市教委へ不信感を示した。

 

 遺族は自殺の原因を「担当教諭の不適切な指導と家庭訪問」とした第三者委報告書(18年12月)を受けて、4月に要田憲雄教育長宛て要望書を提出。報告書への見解や遺族に対する謝罪、再発防止などを求めていた。

 

 市教委は5月31日、要望書に対する回答書を遺族に提出。報告書で認定された自殺原因を重く受け止め、生徒指導・支援や家庭訪問の在り方を検証し、再発防止策を構築するとした。

 

 一方、市教委が自殺翌日に同市であった臨時校長会で男子生徒を「いじめた側」としたことについては、同級生が男子生徒に「嫌な行為をされた」と訴えたとする学校側の報告やいじめ防止対策法などを基に判断したと説明。「当時の状況下での判断としては瑕疵はなかった」とした。

 

 遺族は回答書に対し「第三者委の報告書が把握していない事項を持ち出していて、第三者委の調査結果に対する異議といえる」と指摘。「報告書を真摯(しんし)に受け止めておらず、言動不一致」と怒りの声を上げた。

 

 第三者委は報告書で、当該学校の教員や生徒への聞き取りなどの結果▽不適切な指導と家庭訪問時の対応が自殺の原因▽男子生徒の同級生への行為をいじめと断定できない▽明確な判断材料がないにも関わらず、市教委が経緯を「いじめ」と断定した―などとしていた。

 

 遺族の会見後、市教委の元野弘学校教育課長は回答書で「いじめ」と断定した経緯について「当時の関係者への聞き取りを基に記した。自殺翌日の朝に当時の校長から教育委員会で教育長らが報告を受けた。当時の学校教育課長らから第三者委の調査でその日の朝のことは聞かれていないので報告していないと聞いている」と述べた。

 

 回答書ではこのほか▽当時の校長が第三者委の設立や詳細調査の再考を遺族に促した不適切な対応を謝罪する▽要望書に対する正式見解は遺族に行えば十分と考えている―などと記し、他の多くの要望には「再発防止検討委員会で検討していきたい」としている。

 

 男子生徒の父親(40代)は会見で「報告書提出後も市内の学校で体罰が起こるなど、同じ過ちが繰り返されている。被害に遭うのは子どもたち。再発防止のため今後も行動したい」とも語った。