芳賀日出男さんの長男、日向さん来島 「奄美」写真データ、提供へ 奄美博物館を訪問

父親の撮影した奄美の写真を確認する芳賀日向さん=9日、奄美博物館

父親の撮影した奄美の写真を確認する芳賀日向さん=9日、奄美博物館

 戦後の奄美を撮影した民俗写真家、芳賀日出男さん(97)の長男で、祭り写真家の芳賀日向さん(62)=東京都、芳賀ライブラリー代表取締役=が9日、奄美市名瀬の奄美博物館を訪問した。父親が撮影した写真や島の文化に触れた。日向さんは「父の仕事の原点に触れることができた。父の作品を生かすことが私の役目。写真データを提供したい」と話した。

 

 日出男さんは1955年から3年間、九学会奄美大島共同調査隊の一員として来島。奄美の祭りや暮らしを撮影した。その数、約2万点。奄美の民俗を知る貴重な資料となっている。日向さんは56年生まれ。生まれて間もない頃、父親はほとんど奄美に滞在していた。

 

 当初は写真家になるつもりはなく、米国イリノイ州立大学で文化人類学を学んだ。卒業後、メキシコでしばらく暮らし、地域の祭りを見た。「これは残しておかないといけない。祭りには人々のアイデンティティーが表れている」と考え、世界中を回って祭りを撮影した。

 

 10年ほどして帰国した。祭りの写真を撮っていると、気がついた。「日本はいろんな宗教の祭りがある。アニミズム(精霊崇拝)の祭りもある。その中でも奄美諸島は特別だ」。日向さんは父の後を追うように全国を駆け巡った。奄美だけが残った。その理由は「写真家として父の仕事が理解できるまで、奄美には来てはいけない」と思ったという。結果的に奄美が最後になった。

 

 日向さんは博物館の展示や島の様子を見て感慨深そうに話した。「父の写真が奄美にこうして生きていることが本当にうれしい。写真家の仕事が残っている。(奄美に通い詰めた)そのときの父の気持ちが分かるようだ」

 

 日出男さんは九学会調査の際の写真約140点を博物館に寄贈した。これらはすべてプリントしたもの。日向さんは「芳賀ライブラリーはネガを保管している。早いうちに写真をピックアップしてデータ化し、提供したい。企画展などいろんなことに使えるのではないか。父の写真を生かすことが私の役目」と申し出た。

 

 奄美市教委文化財課の久伸博課長は「博物館のオープン当初、芳賀日出男さんにはほとんど無償の形で貴重な写真を提供していただいた。写真のおかげで民具類が生活の場で使われていたことを知ることができる。データ提供はありがたい話」と述べた。

 

 日向さんは11日、龍郷町秋名・幾里のアラセツ行事を撮影する予定。

昭和30年代、芳賀日出男さんが撮影した板付け舟による荷物の運搬=宇検村

昭和30年代、芳賀日出男さんが撮影した板付け舟による荷物の運搬=宇検村