血液で乳がん早期発見へ 対がん協会など

血液検査による乳がん早期発見への研究について説明する関係者=15日、鹿児島市の県庁

血液検査による乳がん早期発見への研究について説明する関係者=15日、鹿児島市の県庁

     公益財団法人日本対がん協会、国立がん研究センター、国立国際医療研究センターは血液検査による乳がんの早期発見に向けた臨床研究を県内で本格化させる。マイクロRNAと呼ばれる血中物質の状態を調べ、がんの可能性を見極める検査手法の確立を目指す。県内では40代から60代までの乳がん検診受診者から採血し、調査する。手法が確立すれば、乳がん検診を受ける女性の負担軽減も期待できるという。

 

 現在行われている乳がん検診は、乳房をエックス線撮影する「マンモグラフィー」が主流だが、痛みを伴うことなどから受診率が低迷。国民健康基礎調査によると、2019年の検診率(40代以上)は国内全体が37・4%と欧米の70~80%に比べ大幅に低く、鹿児島県も39・7%にとどまっている。

 

 今回の研究内容については、日本対がん協会の小西宏プロジェクトディレクターや国立国際医療研究センターの下村昭彦医師らが15日、鹿児島市の県庁で記者会見して説明。

 

 それによると、研究の鍵を握るマイクロRNAは14年から18年にかけて関係機関が研究・解析を進め、乳がんを含めて13種類のがんや認知症の早期発見につながる可能性が分かったという。

 

 県内で行う採血はこれらを踏まえた臨床研究で、マンモグラフィー検査を受けた40~60代女性の血液を分析し、検査結果と分析結果を比較する。分析精度の高さが証明されれば、マンモグラフィー検査前に一定の確度で乳がんの可能性が分かるため、早期発見に役立つという。

 

 採血は鹿児島のほか、北海道、福井、愛媛の3道県でも実施し、冷凍保管した血液を鎌倉市の研究施設で分析。鹿児島県内では今年1月から試行的に、県民健康プラザ総合センターが県内の事業所や自治体で実施する検査の受診者の協力を得て採血しており、今後は幅広く協力を呼び掛ける。年度内に4道県合計で3000人を対象に採血する予定で、道県別の人数は決まっていない。

 

 小西ディレクターは「鹿児島県は離島も多く、乳がん検査の際には検査車両の搬送コストなどもかかる。採血による検査手法が確立されれば、こうした負担も抑えられる」と離島にとってのメリットも説明した。