被災地からの漂着物、畑で活躍 与論町

 東日本大震災の津波で流出したとみられるコンテナを大切に使っている里光川悦さん、キミエさん夫妻=8日、与論町古里

東日本大震災の津波で流出したとみられるコンテナを大切に使っている里光川悦さん、キミエさん夫妻=8日、与論町古里

  与論町古里の里光川悦さん(75)、キミエさん(73)夫妻は、10年前の東日本大震災の津波で宮城県気仙沼の漁港から流出したとみられる大型コンテナ(1000㍑容器)を農作業に活用している。コンテナは昨年1月、与論島に漂着したもので、現在は里光夫妻の畑でサトウキビの苗を水に漬ける水槽として活躍する。

 

 コンテナには「気仙沼魚市場」の文字が記されており、島の東側に位置する皆田海岸に漂着しているのを、川悦さんの友人らが発見した。発見当初、川悦さんと友人らはコンテナを漂着物として町役場に届けた。役場などを通じて気仙沼漁港へコンテナを返そうとしたが、気仙沼側から「そちらで使ってください」と連絡を受け、川悦さんが引き取ることになったという。

 

 里光夫妻は10年前の震災当日について、与論島でも緊張感があったと振り返る。「畑でキビの刈り取りをしていたら、ここは(海の近くで)危険だから避難してくださいと消防の人に何度も言われた」とキミエさん。自宅に帰り、テレビで見た被災地の光景に圧倒されたとも語った。

 

 川悦さんはコンテナについて「何年も漂流して、ほぼ無傷でやっと与論にたどり着いたかと思うと感慨深い。年月を経てサンゴがところどころに付着している。これからも大事に使っていきたい」と話した。

 

 里光さん夫妻は現在、気仙沼漁港へ感謝の気持ちを込めて与論産のきびざら(ざらめ)を贈る準備を進めている。