観光関係者ら影響懸念 GoTo全国一斉停止 奄美群島

 政府は14日、観光支援事業「Go To トラベル」について、28日から来年1月11日の期間、全国一斉に停止することを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、方針転換した。書き入れ時である年末年始の事業停止に、この2カ月ほど好調に推移していた奄美群島の観光関係者から影響を懸念する声が広がっている。一方、事業の制度そのものの問題点を指摘する意見もあった。

 

 本場奄美大島紬の製造・販売と観光業などを手掛ける夢おりの郷(龍郷町)の南晋吾社長(39)は「10月ごろからGoTo関係で客足が増えていたので少なからず影響はあると思う。心配はあるが、今は『アフターコロナ』を見据えて製造に力を入れていくのみ」と前を向く。

 

 カヌー体験などが人気のマングローブパーク(奄美市住用町)の寿義浩支配人(63)は「10月以降、順調だっただけに停止は残念だが、仕方ない。道の駅としての役割もあるので、感染防止に努めながら訪れる観光客に奄美を楽しんでもらう」と語り、事業の停止に理解を示した。

 

 ホテルでは既にキャンセルが出始めている。

 

 奄美市内のホテル関係者は「停止期間中の宿泊キャンセルが約20件入った。連泊予定で期間にかかるお客さまの場合どうなるのかと問い合わせているが、きちんとした説明には時間がかかると言われている。観光地としては正直痛い。急ではあるが、仕方がない」と困惑気味に話した。

 

 徳之島では今月2日に徳之島町で新型コロナの感染者が確認され、感染拡大を受け8日には県が徳之島を一つのクラスター(感染者集団)と判断。既に地域経済への影響が深刻化している。

 

 宿泊業やレンタカーなど多業種の観光関連事業を展開する西田グループ(徳之島町)では、島内のコロナ感染拡大で予約客のキャンセルが相次ぎ、忘年会など住民による利用もほぼなくなった。西田裕二代表取締役(63)は「GoToの一時休止より、島内での感染拡大の方が影響は大きい」と切実に語った。

 

 ヨロン島観光協会(与論町)の町岡安博事務局長(55)は「GoToが始まってから団体旅行客も増え、入り込み客の人数が回復していたので、一斉停止はショックだ。コロナの影響で島民の外食が減っている中、年末年始の飲食店への打撃も大きいだろう。既に予約している人への対応など国の動向を注視したい」と話した。

 奄美薬剤師会の岡村芳和会長(60)は「そもそも国の制度設計に問題がある」と指摘。「始めた段階でこうなることは分かっていたはず。どうなったらいつ止めるのかをきちんと決めてやらないことが問題だ」と苦言を呈した。