通訳案内士対象にガイド育成へ 奄美市

2018年11月18日

地域

中心商店街を歩き、身近にある観光資源を再確認する参加者=17日、奄美市名瀬

中心商店街を歩き、身近にある観光資源を再確認する参加者=17日、奄美市名瀬

 奄美市は名瀬市街地で17日、地域通訳案内士を対象とした「まち歩き観光ガイド」育成講座を開催した。クルーズ船の寄港増などによるインバウンド(訪日外国人)も含め、増加が続く旅行者の「まち歩き観光」に対応する人材育成を図るのが狙い。英語と中国語の通訳案内士16人がフィールドワークや座学に参加して、奄美の文化や人々の暮らしに根付いた身近な観光資源の見つけ方などに理解を深めた。

 

 インバウンドも対象としたまち歩き観光の人材育成講座は奄美市では初めて。観光ニーズの多様化を背景に県の地域振興事業を導入して実施した。

 

 市紬観光課によると、同市の通訳案内士の登録人数は英語、中国語合わせて65人で、今回の参加者内訳は英語、中国語とも8人。奄美群島での体験交流イベント「あまみシマ博覧会」などで名瀬市街地でのまち歩き観光を展開しているあまみ観光物産連盟の恒吉美智子さんが講師を務めた。

 

 フィールドワークでは、恒吉さんが展開している観光メニューに基づき名瀬の中心商店街や永田墓地、おがみ山を巡り、参加者は観光客の目線でまち歩き観光を体験した。

 

 商店街や住宅街ではスイジ貝やクモ貝を魔除けとして軒先に飾っている民家を見つけたり、永田墓地では旧暦の毎月1、15日の墓参を欠かさない人々の暮らしについて解説を受けるなど、住民生活の中に根付いている自然への畏敬の念や先祖崇拝の意識を再確認。これらを観光資源と位置付けた観光メニューの組み立て方法などを学んだ。

 

 中国語の通訳案内士として登録している同市名瀬の松桂子さん(54)=中国・ハルピン出身=は父親が奄美出身。「30年以上前から奄美で生活しているが、身近な生活の中に奄美ならではの資源が眠っていることに気付いた」と話した。

 

 旧住用村(現奄美市住用町)市出身で、大和村今里在住のショースタク幸子さん(39)と、夫で米国アリゾナ州出身のショースタク・ティムさん(29)は「奄美は自然だけでなく、人々の生活に根付く文化も素晴らしい」と感想。「ガイドの活動の中で、外国の人々にもPRし、奄美へのリピーターを増やしたい」と口をそろえた。

 

 ガイド育成講座は24日に続開し、他地域のまち歩きプログラムなどを参考により実践的に学ぶ。