須子茂集落、トネヤ再建 住民が守り残す「集落遺産」

再建されたトネヤ(手前)。奥にはアシャゲが見える=2月28日、須子茂集落

再建されたトネヤ(手前)。奥にはアシャゲが見える=2月28日、須子茂集落

 瀬戸内町加計呂麻島の須子茂集落(元永孝則区長、14世帯21人)でこのほど、トネヤが再建されました。同集落はノロが祭祀を行う神聖な建物「トネヤ」と「アシャゲ」が二つずつ残る奄美大島でも珍しい地域でしたが、1996年に1棟のトネヤが焼失していました。自ら再建に当たった元永区長は「集落にとって大切な存在が再びそろった。目に見える形としてこの先もずっと歴史を語り継いでほしい」と喜びを語りました。

 

 

住民らが資金を出し合い、2015年に建て替えたもう1棟のアシャゲ。元永区長が自ら腕を振るった=2月28日、須子茂集落

住民らが資金を出し合い、2015年に建て替えたもう1棟のアシャゲ。元永区長が自ら腕を振るった=2月28日、須子茂集落

 再建したトネヤは木造平屋建て、幅2・8メートル、奥行き2・7メートル、高さ2・55メートル。費用は町の地域提案型事業と住民の寄付でまかないました。昭和40年代までかやぶきだった屋根を手入れがしやすいトタンに変えた以外は、くぎを使わない建築方法など昔のままの形とやり方を再現しています。

 

 同集落の泉シマ子さん(96)によると、集落のトネヤは「カミサマの家」として祭りで豊作を祈る場所だったほか、戦後は焼け出されて家のない人の宿としても使われていたそう。泉さんは「今でも観光客の方が戸を開けて見学したり休んだりしても須子茂の人はとがめないよ。カミサマを大事にすることは人を大事にすること。今の時代に再建されたことが須子茂集落の神髄を表しているのよ」と再建を喜んでいました。

 

 須子茂集落では2015年にも住民らが資金を出し合い、老朽化したアシャゲを建て替えています。「二つのトネヤとアシャゲ、民家の生垣の景観など、昔からあったものを残すことが大事」と元永区長。住民の手で大切に保存されてきた建物や景色が、訪れる人へ地域の歴史とシマの心を伝えています。