2団体が調査、レポート発行 奄美大島

猫問題に関するレポートを発行した奄美哺乳類研究会の阿部会長(左)と塩野﨑和美さん

猫問題に関するレポートを発行した奄美哺乳類研究会の阿部会長(左)と塩野﨑和美さん

   奄美哺乳類研究会(阿部優子会長)と奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)はこのほど、奄美大島の山中で野生化した猫(ノネコ)や、ノネコの元になる野良猫の生息状況などに関する調査結果をまとめ、レポートを発行した。阿部会長は「希少種保全のためには、ノネコと野良猫、飼い猫に分けた現在の対策では不十分。広く森林に入っている猫として対策を検討してもらいたい」と話し、「屋外猫ゼロ」を目標にした対策の強化を提言した。

 

 同島ではノネコがクロウサギなどの希少種を襲う被害が発生し、生態系への影響が懸念されている。このため環境省、県、島内5市町村はノネコ管理計画を策定し、2018年7月にノネコの捕獲を始めた。合わせて5市町村は野良猫の繁殖制限を目的に不妊手術を行うTNR事業を実施。飼い猫の適正飼養管理条例を制定して飼い主の義務を定めている。

 

 両団体はそれぞれ世界自然保護基金(WWF)ジャパンの協力も得て▽自動撮影カメラによる野生生物調査▽全地球測位システム(GPS)を使った猫の行動追跡調査▽住民参加型の屋外猫調査│を実施した。

 

 調査では、集落に近い森林の同じエリア内に希少種と猫が生息していることや、集落と森を行き来している複数の猫がいることが分かった。また、山を越えて別の集落まで移動する行動範囲の広い野良猫もいて、野生生物が主に活動する夜間に活発に動いている様子も確認された。

 

 レポートでは「屋外で生活している猫全体が野生生物への脅威となる状況を直視した対策の実現が強く望まれる」と指摘。行政側に、森林に近い集落では、将来的に野良猫や放し飼いの猫など屋外にいる猫がゼロになるよう求め、野良猫の8割以上の不妊化、適正飼養管理条例の周知徹底などを提言。住民には放し飼いにしている猫も、夜間は室内に入れて野生生物に遭遇しないよう呼び掛けている。

 

 レポートは環境省、県、5市町村に配布したほか、今後は集落のイベントや学校の授業などで活用する。奄美哺乳類研究会などのホームページからダウンロードできる。

屋外にいた猫の情報を地図に記録する住民ら(奄美ねこ問題ネットワーク提供)

屋外にいた猫の情報を地図に記録する住民ら(奄美ねこ問題ネットワーク提供)