「えらぶゆり」をGI登録 名称保護、奄美で初 農水省

2020年11月20日

地域

奄美で初めて地理的表示(GI)保護制度対象品目に登録されたえらぶゆり

奄美で初めて地理的表示(GI)保護制度対象品目に登録されたえらぶゆり

 【鹿児島総局】農林水産省は18日、沖永良部花き専門農業協同組合とあまみ農業協同組合が和泊、知名の両町で生産する「えらぶゆり」を、地域の農林水産物や食品のブランドを守る地理的表示(GI)保護制度の対象に追加登録した。奄美群島で生産される農林水産物では初の登録で、切り花などの観賞用植物としての登録は同制度において初めて。両団体の基準に基づくユリだけが「えらぶゆり」を名乗ることができ、名称が知的財産として保護される。

 

 同制度は、地域で長年育まれた特別な手法で生産された農林水産物や食品の名称の保護が目的。沖永良部花き専門農協とあまみ農協は昨年8月、合同で同制度の登録を申請。制度の条件に合致し、管理・流通体制が整備、確立されていることなども評価され102番目の登録品目となった。GI登録により、地理的表示法に基づく「GIマーク」を付け販売することができ、ブランドを守りやすくなる。

 

 えらぶゆりは、沖永良部島などに自生していたテッポウユリから繁殖・育種された純白の花びらを持つユリ。葉の形が丸みを帯びていることやほのかな香りが特徴で、同省によると「香りが強すぎず凛(りん)とした姿形から冠婚葬祭に向いているとの評価も登録に結び付いた」という。

 

 2013年には県の「かごしまブランド」の産地指定も受けている。県によると、19年度の切り花出荷本数は両組合で約232万8000本、取扱額は2億4106万5000円。

 

 登録を受け、沖永良部花き専門農協の三島生康代表理事組合長は「長年続いている『えらぶゆり』の生産が認められた結果で、生産振興への大きなチャンス。GIを使って世界に発信していきたい」と話した。

 

 えらぶゆりのほか、北海道の「網走湖産しじみ貝」や静岡の「西浦みかん寿太郎」、山口の「徳地やまのいも」も登録され、同制度の登録品目総数は103品となった。

登録を証明するGIマーク(農林水産省のホームページから)

登録を証明するGIマーク(農林水産省のホームページから)