ハンセン病に理解を 映画のモデル上野さん講演 奄美和光園

2019年11月17日

地域

国立療養所での生活など半生を振り返った上野さん=16日、奄美市

国立療養所での生活など半生を振り返った上野さん=16日、奄美市

  奄美市名瀬の国立療養所奄美和光園講堂で16日、奄美市主催の「ハンセン病問題啓発講演会」があった。星塚敬愛園(鹿屋市)啓発推進員の上野正子さん(92)が講演。市民ら155人が来場し、ハンセン病問題に理解を深めた。

 

 講演会は2部構成。元ハンセン病患者が尊厳を失わず生きようとする姿を紡いだ樹木希林さん最後の主演映画「あん」を上映後、映画原作のモデルとなった上野さんが「在園79年を過ごして」と題し講演した。

 

 上野さんは沖縄県石垣島出身。13歳で星塚敬愛園に連れてこられたときの家族との別れ、偽名を使うなど自由を奪われた園での苦しい生活、国賠訴訟での勝訴など、これまでの半生を高齢を感じさせない元気な声で振り返った。

 

 上野さんは「仮の住まいと思っていたが、79年も住むことになってしまった。でも出会った方々が神様のように助けてくださった。心から感謝の気持ちでいっぱいです」と講演を締めくくり、最後は沖縄の歌も披露して会場から大きな拍手を浴びた。