三京林道を通行規制 徳之島

2019年06月02日

世界自然遺産

門扉を施錠して通行規制した三京林道=1日、天城町三京

門扉を施錠して通行規制した三京林道=1日、天城町三京

 林野庁九州森林管理局鹿児島森林管理署は1日、徳之島中部の三京林道入り口の門扉に鍵をかけた。世界自然遺産登録を視野に、生物多様性の保全や希少動植物の盗採・盗掘の防止、交通事故防止が目的。一般車両の通行を規制してガイドなしの徒歩立ち入りも原則禁止する。同庁のゲート設置による徳之島での林道通行規制は2016年12月の剥岳林道に続き2例目。

 

 三京林道は本線が延長約3・2㌔、支線約0・5㌔。周辺の国有林には希少な動植物が分布し、林野庁は13年3月、林道周辺を含む同島中部の国有林を原生的な天然林の保全を図る「奄美群島森林生態系保護地域」に指定した。

 

 奄美群島国立公園の区分では、特別保護地区と第2種特別地域が混在。世界自然遺産登録を目指して今年2月に政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出した推薦書で遺産候補地になっている。

 

 同森林管理署と天城町、徳之島エコツアーガイド連絡協議会は今年3月、剥岳林道と三京林道の利用に関する3者協定を締結し、4月に両林道の入林規制を始めた。剥岳林道では16年から出入り口2カ所に門扉を設置して通行規制している。三京林道でも保全体制強化のため天城町三京側の林道入り口1カ所に幅4㍍の門扉を5月中旬に設置していた。

 

 同林道への立ち入りについては、教育目的や学術機関の研究調査などは同森林管理署徳之島森林事務所へ利用申請を行い、通行の許可を受ければ鍵を貸し出す。林道での野生動植物観察は同協議会が行うガイド付きのツアーに申し込めばできる。

 

 徳之島森林事務所の宮川貴之首席森林官は「国有林は国民共通の財産であり宝。今後も島民を中心にみんなで守っていきたい。施錠は島民一人一人の理解、協力をお願いしたい」と述べた。

 

 環境省徳之島管理官事務所の沢登良馬国立公園管理官は「車両通行が規制されることで、希少動物のロードキル防止が期待できる。盗掘・盗採の防止策や適正な森の利用も考えていくことが大事」、徳之島地区自然保護協議会の政武文会長は「管理された観光利用をすることで、自然環境を未来につなぐことができ、エコツアーなどによる経済活動への利用も長期間できるなど、保全と活用につながる」と話した。

 

 同森林管理署は今後、モニタリングや監視用として、林道周辺に自動観察カメラを設置する方針。