与論の浜は「宝物」/海謝美、毎朝の海岸清掃に汗

2018年08月11日

地域

早朝の海岸清掃を続ける「海謝美」メンバー=与論町

早朝の海岸清掃を続ける「海謝美」メンバー=与論町

 与論町で早朝の海岸清掃に励むボランティアグループがいる。住民を中心につくる「海謝美(うんじゃみ)」は海岸63カ所を1日1、2カ所ペースで巡っており、いよいよ10巡目に入った。モットーは「無理しない」「楽しむ」こと。活動の模様はフェイスブックやブログを通じて発信、賛同した町民や観光客らが思い思いの日に集い、共に汗を流す。

 

 最初に始めたのは、生活研究グループ仲間の堀行かず枝さん(77)と福幸子さん(70)の2人。4年ほど前からこつこつ続けていたところ徐々に人が増え、昨春には正式なグループ名も付けた。

 

 「海謝美」、海に感謝して美しく―。読み方は、かつて島に存在したノロの祭り「海神祭」の方言名(与論はウンジャン、沖縄ではウンジャミ)からもらった。

 

 活動は午前6時半に集合し、ラジオ体操で体をほぐした後、約1時間かけてごみ拾いに汗を流す。悪天候時以外はほぼ毎日だ。常連メンバーは5、6人。その時々で住民や子ども、来島客が加わる。ごみ袋は町役場の配慮で、ふるさと納税から提供を受けた。

 

 集まったのはビールの空き缶、ペットボトル、発砲スチロール、漁網…。新聞紙にくるまれたペットの死骸、やぶの中から大型家電製品や自転車が見つかったことも。海洋汚染が世界的な問題になっているプラスチック製ストローも少なくない。

 

 「漂着ごみは国レベルの対処が必要だ。島の人だけではどうしようもない」。リーダーの原田誠一郎さん(60)はため息を漏らした。連日インターネットで情報発信しているのも「目の前にこんなにごみがある現状。島内外の人が環境問題に目を向けるきっかけにしてほしいから」と力を込める。

 

 一方で活動がメンバーの日々の活力につながっているのも確かだ。福さん、堀行さんは「友達に会える楽しみがある」「この年齢になって初めて島中の浜を知ることができた。私の宝物」と目を細める。

 

 「私たちの後ろ姿を見て、子どもたちが大事な与論を守りたいと思ってくれたら。誰かがやらないと」

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 海謝美の活動はブログ「さすらいの風来簿」で検索できる。