世界遺産テーマに小野寺さん公開講義 大正大・奄美実習

2018年10月10日

地域

小野寺浩さんが講義した大正大学の公開レクチャー=8日、奄美市名瀬

小野寺浩さんが講義した大正大学の公開レクチャー=8日、奄美市名瀬

 産学官連携による地域活性化策を探る奄美実習に取り組む大正大学(本部・東京都豊島区)の公開レクチャーが8日、奄美市役所であった。同大学客員教授の小野寺浩さんが講義し、世界自然遺産登録を目指す奄美の地域づくりについて「個性的な自然、文化を基礎に、世界へ発信できる『奄美モデル』をつくりあげることが重要」と提言した。

 

 小野寺さんは環境庁(現環境省)から鹿児島県に出向して1993年の屋久島の世界自然遺産登録に貢献した。同省自然環境局長を2005年に退任。屋久島環境文化財団理事長、奄美・沖縄の世界自然遺産候補地科学委員会委員。

 

 公開レクチャーは同大学の学生と地元関係者ら約50人が聴講した。講義のテーマは「奄美世界遺産と地方創生」。小野寺さんは世界自然遺産を目指す奄美の森の特徴や、奄美群島の人口や総生産、入り込み客数などの推移について説明した。

 

 格安航空会社(LCC)の就航などで奄美大島の観光客が増加傾向にあることや、国内で外国人観光客が急増している現状を踏まえて、「東京よりもインバウンド(訪日外国人旅行者)に対する立地は奄美の方が有利だ」と可能性を示した。

 

 その上で「観光客が増えれば観光地は荒れる。地域経済は持続性を強く考えるべき」と指摘し、「世界で一番進んだ何かを奄美でつくりあげてほしい」と持続可能な「奄美方式」の確立を呼び掛けた。

 

 同大学は地域構想研究所のプロジェクト事業「くろしおコンソーシアム」の一環で、全国13カ所で自治体と連携した学生の実習を展開。奄美実習は2年目。1年生8人が約40日間、「奄美の自然環境と世界遺産」をテーマに活動している。10月29日に奄美市名瀬で報告会を開く。