中1自殺、不適切な指導が原因 奄美市の第三者委が報告

2018年12月11日

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中学1年生の自殺について調査報告を作成、会見する第三者委員会の内沢委員長(右から3人目)=9日、奄美市役所

中学1年生の自殺について調査報告を作成、会見する第三者委員会の内沢委員長(右から3人目)=9日、奄美市役所

 奄美市内の中学1年生の男子生徒Aさん=当時(13)=が2015年11月に自殺したことを受けて、市が設置した第三者委員会(内沢達委員長、委員6人)は9日、当時の担任教諭の不適切な指導と家庭訪問が自殺の原因とする調査報告書を朝山毅市長に提出した。報告書には再発防止のための提言もあり、要田憲雄教育長は「調査結果を重く受け止め、提言に対しても、しっかり対応していきたい」とコメントを発表した。市は今後、報告書をホームページなどで公開する予定。

 

 市教委は15年11月、市役所で臨時校長研修会を開き「いじめた側の子が責任を感じて自殺した」と説明。学校側は同年12月、「調査の結果、事故の原因を特定することはできなかった」と遺族に報告した。

 

 遺族側は報告内容に納得できず16年5月、市に対して第三者による詳細調査を要望。学校側は詳細調査に難色を示したが、市は「奄美市立中学校生徒の死亡事案に関する第三者調査委員会」を設置し、17年5月に第1回の第三者委を開いた。

 

 第三者委はAさんの同級生やその保護者、教職員や市教委ら68人への聞き取り調査など計22回の会合を実施した。報告書は「自殺に至るまでの背景と当該中学校における指導の検証」など7章構成。

 

 報告書によると、15年11月2日、同級生Bさんが「友達からの嫌がらせ」を理由に欠席。休日を挟みBさんは4日、別教室に登校した。担任教諭は保健室でBさんに「他の生徒からされた嫌なこと」を書かせた。BさんはAさんについて「意味の分からない方言を言ってくる」とした。

 

 担任教諭はAさんら生徒5人のBさんに対する言動などを問題視し、謝罪させた。このとき、BさんもAさんに「方言の意味が分からず文句を言われてると思ってごめん」と謝ったという。

 

 担任教諭は指導後、「Aさんを励ますために」家庭訪問し、2人で3~4分ほど話をした。

 

 第三者委は家庭訪問により、Aさんが「学校での指導だけでは足りないのか」と強いショックを受け、「死ぬしか責任を果たせない」と絶望感を抱いて自殺したと推察した。いじめに該当する行為の有無については、BさんがAさんを友達だったと述べていることなど2人の関係性に触れ、「Aさんの発言をいじめと認定することはできない」と結論付けた。

 

 遺族側は代理人を通して「息子がいじめに関わっていたことに責任を感じて自殺したわけではないという報告に安堵(あんど)しました」とコメントした。