佐川美術館の一村展 過去最多 滋賀県守山市

2018年09月23日

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過去最多の8万6千人が来館した佐川美術館の田中一村展=滋賀県守山市(同館提供)

過去最多の8万6千人が来館した佐川美術館の田中一村展=滋賀県守山市(同館提供)

 滋賀県守山市の佐川美術館で開催された「生誕110年田中一村展」が17日に終了し、期間中の累計来館者数が開館以来最多の8万6704人だったことが分かった。過去に全国の美術館や百貨店で実施された一村展としても最高記録。60年の画業軌跡をたどる展示構成に力を入れた。同館関係者は「メディアに注目され、露出が多かったことが要因。来館者の反響も想像以上に大きかった。一村の全貌を少しでも紹介できたのではないか」と話している。

 

開館20周年特別企画展。7月14日から9月17日まで開かれた。同館での一村展は初めてで、関西でも10年ぶりとなった。

 

 一村は奄美を描いた日本画家として知られる。しかし今展示会では60年以上にわたる創作の軌跡をたどることで一村芸術の神髄に迫ろうと、幼少期から晩年の奄美時代まで四つの時代で構成。会期中は各時代の代表作を含む延べ180点を展示した。

 

 個人所蔵作品も多く、最初期とされる7歳時の「菊図」や、多数の未公開作など貴重な作品が並んだ。

 

 生誕110年に当たる本年はテレビ番組やニュース、雑誌などに取り上げられる機会が増加。関西奄美会や中部奄美会からも会場に出身者が詰め掛けた。

 

 同館の井上英明企画担当学芸員は「大阪や神戸などの大都市圏や近畿圏以外からの問い合わせが多かった。今回は奄美を描いた作品が少なく、来場者から『残念』との声もあったが、一連の画業軌跡を知ってこそ奄美作品にたどり着く。一村の全貌を少しでも紹介できたと思う」と振り返った。

 

 会期中は同展監修の美術評論家大矢鞆音さんと、一村のおいの新山宏さん(著作権承継者)による記念対談や島唄コンサートなども行われた。