地域色豊かな島口、次代へ/方言の日、群島内で多彩な催し

2018年02月19日

地域

 奄美群島の「方言の日」の18日、各地で奄美の方言「島口」を保存・継承するイベントがあった。昔ながらのわらべ歌遊びの体験や方言教室、島口・島唄の舞台発表など多彩な催しがあり、先人から受け継いだ地域色豊かな島口を次代へ受け継ぐ大切さを再認識した。

 

 

○わらべ歌遊びの体験も=奄美図書館

 

方言のわらべ歌遊びを楽しむ参加者ら=18日、県立奄美図書館

方言のわらべ歌遊びを楽しむ参加者ら=18日、県立奄美図書館

 奄美市名瀬の県立奄美図書館ではこの日、「方言の日のおはなし会」があった。幼児から高齢者まで約100人が参加。龍郷町立円小学校の全校児童5人が創作紙人形劇「木の中のお星さま」を上演。奄美の民話の読み聞かせやわらべ歌遊びの体験を通して島口に親しんだ。

 

 紙人形劇は、第14回ネリヤカナヤ創作童話コンクール(県図書館協会奄美支部主催)で入賞した円小6年の塩田恵梨佳さん(12)の作品。学校の大木の穴の中にすむ日本一美しいカエルといわれるアマミイシカワガエルを主人公に、ルリカケスやキノボリトカゲなど、奄美の森の生き物たちとの交流を描いた物語を児童らが生き生きと演じた。

 

 奄美民話の会の嘉原カヲリ代表らが方言の民話やわらべ歌遊びを紹介。数え歌の「てぃちに」では、参加者がグループに分かれて「てぃーちに(一つに)」「たーちよ(二つに)」「みーちに(三つに)」の掛け声に合わせて紙風船を宙に飛ばし、笑顔の輪を広げた。

 

 乳児と小学生の子ども3人と参加した奄美市名瀬の久原しのぶさん(35)は「方言が分からなくても、子どもがお話に聞き入っていたので驚いた。なくなると寂しいので、子どもたちに方言に触れさせたい」と話した。

 

 2月18日の「方言の日」は、大島地区文化協会連絡協議会が方言の保存、伝承を目的に2007年度に定めた。奄美各地で毎年、さまざまな活動が行われている。

 

 ○島の心、見直そう=徳之島町で島口・島唄の祭典

 

寸劇や島唄、島口漫談などがあった徳之島町島口・島唄の祭典18日、徳之島町生涯学習センター

寸劇や島唄、島口漫談などがあった徳之島町島口・島唄の祭典18日、徳之島町生涯学習センター

 第32回徳之島町島口・島唄の祭典(町教育委員会主催)はこの日、同町生涯学習センターであった。町内9団体・個人が出演して島口寸劇や島唄などを披露し、地域に根付いてきた島口を継承する大切さを再確認した。

 

 郷土文化の伝承へ向け、島口・島唄の発表と鑑賞の場を提供し、関心を高めることなどを目的に毎年開催。「シマグチよ甦(よみが)れ 島の心を見直そう」をテーマに、開会あいさつや司会進行も島口で行われた。

 

 ステージは白山福榮さんの島唄でスタート。亀徳小学校の5年生は寸劇「秋津港の砂糖積み」で、砂糖の積み出しでにぎわった現亀徳港の様子を再現し、会場を盛り上げた。昨年に続いて実施された島口議会では、世界自然遺産登録に向けた観光客の受け入れや環境保護意識の醸成、現在放映中のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」について、徳之島町議が町当局をただした。