奄美市で骨髄バンク登録推進チャリティー

2018年06月25日

地域

コンサートや川上清医師の講演などで骨髄バンクへの理解拡大を図ったチャリティーイベント=24日、奄美市名瀬

コンサートや川上清医師の講演などで骨髄バンクへの理解拡大を図ったチャリティーイベント=24日、奄美市名瀬

 血液難病患者の治療を目的に骨髄液の提供者(ドナー)を募集、登録する「骨髄バンク」の周知イベント(かごしま骨髄バンク推進連絡会議主催)が24日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。医療講演やチャリティーコンサートを通して主催者は「奄美群島でドナー登録の輪を広げよう」と呼び掛けた。

 

 骨髄移植は白血病や再生不良性貧血など血液の病気治療法の一つ。健康な人の骨髄液を患者に移植し、骨髄液に含まれる造血幹細胞が患者の骨髄で血液成分を作り始めたら治療は成功とされる。移植にはHLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる白血球のパターン適合が条件だが、適合率は極めて低い。

 

 骨髄バンクはHLA確保を目的とした制度や取り組みの名称。国内では1991年の骨髄移植財団の設立後、各都道府県で推進連絡会議や行政機関などによりドナー登録が進んできた。

 

 かごしま骨髄バンク推進連絡会議によると、5月末現在の県内ドナー登録者数は4259人。名瀬保健所では15年度の登録受け付け開始後、8人が登録手続きを済ませている。

 

 イベントは昨年に続き2回目。会場ではドナー登録ができる説明ブースを設置。今回は32人(前回17人)が登録した。

 

 講演した鹿児島市の川上清医師は、奄美大島の男性が1995年に骨髄移植を受けて治療に成功した事例や男性の手紙を紹介。「血液難病の患者は発病後、短期間で死亡する例が多い。骨髄バンクの登録が増えれば病気に苦しむ人たちの生きるチャンスを広げられる」と訴えた。

 

 これまで2回骨髄液を提供した濵田和直さん(53)=霧島市在住=は「移植後、腰の鈍痛が約1カ月間続いた。提供のため3日間仕事を休んだが約3カ月前に連絡があったので調整はスムーズだった」などと体験談を発表した。

 

 コンサートには鹿児島県出身のソプラノ歌手中村かし子さんや奄美市在住のピアニスト田中裕太さん、奄美市少年少女合唱団、奄美オーケストラなどが出演し、音楽でドナー登録をアピールした。

 

 会場でドナー登録した奄美市名瀬の田畑りかさん(46)は「提供者の体験談など参考になった。ステージも素晴らしかった」と話した。

川上清医師

川上清医師