奄美発の劇団「稀」旗揚げ 奄美市名瀬

2018年03月13日

地域

島口劇「アモレウナグ」の一こま=10日、奄美市名瀬のAiAiひろば

島口劇「アモレウナグ」の一こま=10日、奄美市名瀬のAiAiひろば

 「奄美ならではの演劇発信を」の理念を掲げて発足した劇団「稀(まれ)」(永田彬也団長)の旗揚げ公演が10日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。約200人が来場し、立ち見が出るほどの盛況ぶり。永田団長は「多くの人が演劇に関心があると分かった。寄せられた期待を大切に一歩一歩内容を高めていきたい」と今後の目標を語った。

 

 「稀」は奄美大島在住の20~70代の11人が所属。2015年に鹿児島市であった国民文化祭で演劇の舞台を経験したメンバーが集い、東京の芸能事務所に所属する中山史尚さん(32)=奄美市笠利町出身=を演技指導者に迎えて発足した。

 

 公演では2~3人の少人数劇3演目が上演された。奄美の民話「アモレウナグ」では登場人物のせりふは全て島ユムタ(島口)。ナレーションを加えて分かりやすくした。ピアノとオカリナで島唄の「行きゅんにゃ加那」も生演奏し、劇を盛り上げた。

 

 初公演は約1時間で終了。カーテンコールでは出演者らに花束と温かい拍手が贈られた。家族3人で見に来たという冨川曙美さん(奄美市名瀬)は「最初の演目では思わず涙が出て隣の人に慰められたほど」「地元の劇を見るのは初めてだが楽しめた。これからも応援したい」と笑顔を見せた。

 

 味のある島ユムタで会場を沸かせた出演者の泉匡祐さん(66)は「失敗もあったがなんとか無事乗り切った」と舞台を振り返り、「始まる前の緊張感と終わった後の達成感は演劇ならでは。多くの人とこの感覚を共有したい」と劇団への参加を呼び掛けた。

 

 シナリオ、演出も手掛けた中山さんは「演技中はよく分からなかったがカーテンコールで多くの来場に驚いた」「まだまだ問題はあるがきょうの成功を次のステップにつなげていきたい」と笑顔を見せた。

 

 劇団稀は団員、運営スタッフを募集している。問い合わせはメールgekidan.mare@gmail.com