宇検村生勝で月拝む伝統行事復活へ

2019年10月16日

地域

月を拝む伝統行事「カンサマオガミ」の一部、水にふやかした米を頭に付けてから食べる手順を体験する児童=14日、宇検村生勝

月を拝む伝統行事「カンサマオガミ」の一部、水にふやかした米を頭に付けてから食べる手順を体験する児童=14日、宇検村生勝

 宇検村生勝集落で14日、月を拝み農作物の豊作や家族の健康を祈る伝統行事「カンサマオガミ」の勉強会があった。同集落では30年以上途絶えているという祭事の復活を目指し、同村生活研究グループ連絡協議会(脇田ちさの会長)が主催した。久志小学校の児童ら15人が公民館に集まり、地元のお年寄りに行事の意味などを教わりながら祭事の手順を実践した。

 

 同協議会によると、「カンサマオガミ」は旧暦1、5、9月に月を拝む祭事で、江戸時代に本土から奄美大島に伝わり、各家庭で行われていたとされる。呼び名は集落ごとに異なり、「ウディキマチ」という呼び方もあるらしい。

 

 祭事は月の出をまたいで行われる。サカキと酒、塩、ウシュンムエ(水にふやかした米)、団子の「こもち」(球体形)と「おやもち」(円盤形)を供え、線香をともし続けた後、海水で手を清めて月を拝み、供えた品を順番に食す。

 

 児童らはお年寄りから「線香は途絶えないよう次々ともして」「ウシュンムエは頭に付けてから食べて」などと助言を受けながら、祭事の一連を実践した。

 

 体験した同小6年の植田心大君(12)は「お月見もしたことがなく、こんな伝統行事があるとは知らなかった。家でもやってみたい」と話した。

 

 脇田会長は「自分が生勝に嫁いできた37年前は続いていたが、若い人は行わず途絶えた。食べ物に困らず健康に過ごせる恩恵に感謝する機会として、こうした伝統行事は大事にしたい」と語った。