宇検村芦検で「当間待ち網漁」体験ツアー

2020年03月02日

地域

網を仕掛けるのを手伝う参加者。写真奥が見張り台=1日、宇検村芦検

網を仕掛けるのを手伝う参加者。写真奥が見張り台=1日、宇検村芦検

 宇検村芦検集落の伝統漁法「当間待ち網(トウママチャン)」の一般向け体験モニターツアーが1日、同集落であった。芦検当間待ち網組合(川畑直俊組合長、18人)と一般社団法人あまみ大島観光物産連盟が共催し、奄美市名瀬から家族連れなど12人が参加。伝統的な漁法を間近で見て、網引きを手伝うなどして地元の人々と触れ合った。

 

 トウママチャンは約100年の歴史があるといわれる同集落の伝統漁法。名前の通り、網を仕掛け、魚群が入るのをひたすらのんびり「待つ」のが特徴。地元の漁師が複数人で湾の入り江の内側に約300メートルの網をL字型に仕掛け、海岸沿いに回遊してくる魚群がかかるのを待つ。「トモリ」と呼ばれる見張り役が見張り台に立ち、魚影を確認すると合図して一斉に網を引き、捕らえる。

 

 かつてトウママチャンのシンボルでもあった松の木の見張り台は松が枯れてしまったため取り壊され、2018年には高さ5メートルの鉄筋モルタル製の見張り台が同じ場所に設置された。ツアーは伝統漁の継承と魅力発信を目的に、新たな観光資源にしようと同組合が企画している。

 

 同日午前9時半、参加者らは湾にある神棚に大漁を祈願。組合員3人が船に乗り込み、網をL字型に張っていった。漁を待つ間、参加者は近くに特設されたテントで、地元住民による魚料理の実演と試食などを楽しんだ。待つこと1時間半。天候が悪くなってきたこともあり、網引きを開始。子どもたちも網引きを手伝い、網にはハリセンボンやエイ、ミノカサゴなどがかかった。参加者は歓声を上げて見守り、記念撮影後に海に返した。

 

 参加した奄美市名瀬の主婦(42)は「魚の泳ぎ方や気候、地形、漁のポイントなど、地元の漁師からでないと聞けない知識が興味深かった」と笑顔。同市伊津部小2年の宮田卓くん(8)は「大人の人たちの掛け合いが面白かった。魚もかかってよかった。また来たい」と楽しげな様子。

 

 川畑組合長は「新型コロナウイルスの影響で、役場からは自粛を促されていたが、無事実施できてよかった。参加者の声を参考に、クルーズ船観光客を芦検まで引っ張ってこれるようなツアーに仕上げたい」と意気込んだ。

 

 体験ツアーは日曜日のみ実施。時間は4時間程度。大人1人2千円、中学生以下は千円、未就学児無料。予約問い合わせは電話0997(67)2045宇検村漁業協同組合。

 

仕掛けた網を引き、かかったハリセンボンやエイに驚く参加者たち=1日、宇検村芦検

仕掛けた網を引き、かかったハリセンボンやエイに驚く参加者たち=1日、宇検村芦検